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ジャングルマラソン「未」完走記1:つい、うっかり「ジャングルマラソン」

 

とにかく、2012年は、寒いデキゴトが多かった。

 

4月には、北極点でフルマラソンをし、

10月には、南極を100km走っていた。

 


「ぼっくん、来年は、暖っかいトコロで走りたかヾ(*´∀`*)ノ!」

 

 

そう思っていた時に目撃した、一枚の写真。

 

きっかけ

南極を共に走ったヘンタイランナー繋がりでフェイスブックのトモダチとなったShirleyが、

フェイスブック上で「(・∀・)イイネ!!」していた写真だ。

 

「7日間でブラジルのジャングルを250kmも走れるレースの写真だってw?

ってか泳いでるww??

 

ジャングル?? ぁ、暖っかそうじゃね(´・ω・`)?

 

あ、(;・∀・)っ ポチットナ

 

 

つい、うっかり。

 

 

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だから、ジャングル。

これ以上、哲学的な理由など生まれてこようハズが無い。

 

 

レースをポチったら、次は条件反射でフライトのチェックだ。

レースエントリーだけでは、

まだ「いやいや、さすがにヤメておいたほうが(´・д・`)…」

といった言い訳が出てきかねない。

こういうのは、どんどん言い訳の余地を徹底してツブしてしまうに限る。

 

どうやら、このジャングルマラソンも、

ワケの分からない僻地に現地集合

から始まるらしい。

 

「ブラジルのリオ・デ・ジャネイロから

さらに国内線2つ乗り継いで行く『サンタレム』に集合し、

そこからボートで移動」

とな。

 

 

「奥さま!聞きました(´・д・`)!? ボートですって(;・∀・)!?」

 

飛行機を乗り継いで、そっからボートでさらに移動する。

しかも、行き着いた先は、危険な生物がうごめくジャングル。

そこに颯爽と乗り込み、密林をかき分け、川を渡り、ボス(レース)をやっつけに進んでいくのだ。

 

もはや、ドラクエとかファイナルファンタジーとか

ロールプレイングゲームの主人公みたいじゃないの!

 

なんか、やヴぁいくらい、カッコよくね(; ・`ω・´)!!??

 

まぁまて、冷静になろう。

レース開始の2日前夜にボート出発だから、それまでに現地入り必要だよな。

現地まで最短のフライトを駆使しても

東京→シカゴ→マイアミ→リオ・デ・ジャネイロ→ベレム→サンタレム

と丸2日の移動時間はかかる。

7日間のレースに加え、レース2日前の事前現地入り。

現地までの移動往復4日含め、約2週間が潰れることになる。

こりゃ、今までにない大休暇になりそうだ。

 

「仕事の定例イベントには被らない時期だけど、急遽出張とか入るかも(´・ω・`)。。。」

 

約1年先の予定だ。

さすがに先すぎて、まったく予定が読めない。

 

ええい!そんなことはその時考えればよいのだ(; ・`ω・´)。

 

まずは、目標を定め、動かなければ、何も始まらないじゃないか。

フライトも返金・変更不能な格安チケット、(; ・`ω・´)っポチットナ!

 

 

こうして、南極100kmから帰国し3週間ほどの2012年末には、

すでに2013年10月のカレンダーは半分真っ黒に埋まってしまったのだ。

 

つづく

ジャングルマラソン「未」完走記2:砂漠との大いなる違い

 

「7日間、250km」のレースは、かれこれ3度経験している。

 

2011年のゴビ砂漠、サハラ砂漠。

そして2013年3月のアタカマ砂漠である。

 

ジャングルマラソンはこれら3砂漠のレースと主催は違えど、共通点は多い。

たとえば

– 水以外の7日分全ての衣食住を、自ら担いで走る。

– 1-4日目は毎朝スタート、毎晩ゴールがあり、5-6日目は夜通しのロングステージ。最終7日目が、ラストラン。

など。

 

こういうレースでは、とにかく重要なのが下記2点。

– 荷物をいかに軽量化するか(重いほどに、タフさが増す)

– 序盤をおさえ環境にカラダを慣らし、後半、特にオーバーナイトとなる5-6日目のロングステージがチカラの見せ所。

(オーバーナイトステージは長丁場なので、それまでの1-4日目の差が一気にひっくり返りうる)

 

しかし、今回のジャングルでは、

それまでの砂漠と大きな違いがあった。

 

まず

– 熱帯雨林で、湿度がとにかく高い。時に99%。
(雨はもちろん、ゴール後、寝るときも衣服の汗は乾かない前提)

– 砂漠では用意されるテントは用意されず、自らハンモックを用意し担いで走る
(地上で寝るのは、虫とかアブナイ!)

– 1-3日目は20-30kmと短めな分、5-6日目が100kmほど、最終7日目も30kmほどと長い。
(より後半が勝負)

そして何より、レースの注意事項が違いすぎる。

ジャングルマラソンでは、

ひたすらに、危険生物の説明が並ぶのである。

 

– ピラニア

– ヘビ

– ワニ

– ジャガー/ピューマ

– ヒル

– サソリ

– タランチュラ

– ハマダラカ(マラリア原虫の媒介の蚊)

それぞれの特徴などが記載された案内が事務局より届くのだ。

 

それに準じて、必須装備の内容も砂漠と大いに異なる。

なかでも特殊なのは、ハンモック。

「蚊帳と、雨除け付き」が必須要項なのだ。

ハンモックなど、寝たことも1-2度しか無いし

張ったことなどまるで無い。

レース前に、いくつか実際に使って試してみねば。

 

さっそく得意のIT力を駆使し、

世界中の様々なショッピングサイトから

1gでも軽いものを探し出し、いくつか試しにポチり。

 

そうして我が家には注文したハンモックが続々と届きだした。

「信じられないほど軽量」と謳われた、中国のサイトで購入したハンモック以外は。

 

中国のサイトの商品については

 

「お送りした商品の感想はいかがでしたか(`・ω・´)?」

 

というアンケートメールだけはしっかり届いたのだが。

 

「信じられない! 無いんじゃないかってくらい、軽くてワロタww」

とでも答えておくべきだったか(`・ω・´)。

 

 

 

さらに、ジャングルマラソンでは医薬品系の必須装備がやたらに細かいのだ。

– 虫よけ(日本製品は、虫よけ成分「ディート」含有量が海外製に比べ少なく、ジャングルでは全く歯がたたないらしい)

– 虫さされ/殺菌クリーム

– 水浄化剤(実は日本では通常手に入らないようだ)

– 下痢止め

– 痛み止め

– 抗脱水剤

– 注射針

– 包帯

– ラテックス製手袋

– とげ抜き

 

さらには、必須ではないものの推奨装備として

 

「ヘビガード」なるものが記載されている。

 

ジャングルを走っていると、茂みにいるヘビには気が付けない。

ヘビは踏まれると、反射的に脚に噛み付いてくるそうだ。

 

そうすると、もはやヘビを避けようがない。

 

そのために編み出された装備がコレらしい。

 

snakeguardztan

販売サイトに

MADE IN USA

と、やたらデカデカと強調されている。

さぞかし米国の叡智が詰まった逸品なのだろう。

 

こうして、ジャングルにむけての装備品が着々と揃って行った。
ウェアも、アームカバー、ロングタイツ、グローブを装備し、肌の露出を避けるに限る。

肌が出ない分暑さは増すが、レース中、確実になにかしら擦れたり血を流したりする筈だ。

少しでもダメージや感染症のリスクを減らせる方がいい。

 

こうなると、残す問題はただ一つ。

 

北極と南極をニンジャで走り、

チーム世界一となったアタカマ砂漠ではダイコンで走ったワタクシだ。

 

 

「もちろん、フツーの格好で走るだけじゃ、

オモロくもなんともないよな(; ・`ω・´)??」

 

とはいえ、今回のレースは、全く経験の無い環境ばかりだ。

 

ダイコンなんて着たら、川で溺れるか、密林で引っかかって動けなくなるだけだ。

 

ニンジャ刀は勇者の武器っぽいが、あんな重いモノもって走るなんて、

そんなのはバカがやるコトだ(`・ω・´)

そもそも、あんな長いモノ、密林で邪魔でしかないだろう。

 

一体、ボクはどうすればいいというのか。

 

明日への希望さえ見失いかけていた時に、

世界を救う伝説の勇者が現れたのだった。

 

つづく

ジャングルマラソン「未」完走記3:伝説の「勇者の武器」

 

天才的なハッケンというものは、いつも唐突にやってくるものなのだろうか。

 

ある日、ヘンタイランナー繋がりで

「走る.jp」でも有名な山田洋さんと、ツィッター上での何気ないやりとり。

 

スクリーンショット 2013-10-20 09.48.09

 

 

(;・∀・)ハッ!!!!

 

一瞬にして、アタマの中に映像が浮かび上がる。

 

深く暗いジャングルの奥地を、

一人の勇者が颯爽と駆け抜けていく。

 

時に、カラダにまとわりつく謎の樹木をなぎ払い、

次々と襲いかかる獰猛なヘビを追い払い

行く手を塞ぐワニとピラニアが潜む川を打ちのめし。

伝説の武器「ピコピコハンマー」を片手に持ちながら。

 

 

「コレだっ(;・∀・)!!!!」

 

ピコハンなら、軽くて、邪魔にならず、濡れても平気である。

 

「完璧な、『勇者の武器』じゃないかっ(; ・`ω・´)!!」

 

 

即座に、Amazonにて、「ピコハン」ことピコピコハンマーを探しまくる。

 

ピコハン業界は広いのだ。

「ピコピコハンマー」と一言に言っても、

形、大きさ、色といい、様々なピコハンが存在するのである。

伝説の武器にふさわしい逸品を探し当てねば(`・ω・´)。

 

「ひとまず、あるだけゼンブ発注だ(; ・`ω・´)!」

 

ピコハンズ

 

その日は、世界のピコハン在庫が一時的に枯渇し

ウォール街のマーケットは震撼したそうだ。

 

そんな小さなコトには構っていられない。

さっそく、本番同様のウェアに着替え

様々なピコハンを手にしながら

自宅でにわかピコハンファッションショーだ。

 

「ねぇねぇ、コレとコレ、どっちがカッコいいかな(´・д・`)??」

 

そう尋ねられても、もちろんヨメは一瞬たりとも、

ニンテンドー3DSの画面から視線を離さない。

 

「んぁ? こっちだって、いま、モンスター退治で忙しいんだYO( ゚д゚)」

 

そうか。ヨメもオレと同じく、世界の危機に立ち向かわんと必死なのだ(`・ω・´)。

勇者も、つらいよ。

 

そんな風に、ジャングルへと旅立つ勇者が生まれたのだった。

 

その先に待つ世界の、恐ろしさなど微塵も感じぬままに。

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つづく

ジャングルマラソン「未」完走記4:「1gの攻防」

 

ジャングルマラソンは、7日間分の荷物を全て担いで走るレースだ。

荷物は軽いに越したことはない。

今回も、文字通り「1g」単位で全ての装備品を計測し、削れるトコロは徹底的に削りつつ

とはいえ、安全に走りきる為に必要最低限の装備を揃えていく。

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ジャングルマラソンの全装備↑

もちろん、マカデミアナッツの缶は捨て、ジップロックに詰め替える。

過去のレースで経験を重ねることで、装備の軽量化レベルも上がっている自分からみても、

今回の装備は、ハッキリ言って最高傑作の出来栄えじゃないか。

2013年3月でチリのアタカマ砂漠を走り、チーム世界一になった時に8kgだった荷物が

今回はなんと6kg弱に収まりそうだ。

 

でも。

 

もちろん、ピコハンは外せない(`・ω・´)。

 

 

そして。。。この子も。

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その名も「アマちゃん」

NHKで一世を風靡した、あの「あまちゃん」とは、何ら一切の関係は無い。

「アマゾン」に生息する、

死をもたらす病気マラリアの原虫を運ぶ「ハマダラカ」という蚊のマスコット

「アマゾン」だから、「アマちゃん」

 

これは、以前南極を100km走った際に、札幌に住む高校のセンパイがお守りとして作ってくれた

ペンギンのマスコット「マガちゃん」の第二弾。
(参照:【南極100kmマラソンへの道】その4「素晴らしきかな、我が戦略」

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「血を吸えるよう、口はストローで作ったの」

「もう血を吸えないくらい既に血を吸ってるんで、口は赤いの」

と、嬉しそうに「アマちゃん」を解説してくれる、作者のさちほセンパイ(写真右)。

マラリアにかからぬよう、マラリアの原因のハマダラカをマスコットでお守りにするなんて

なんて大胆な発想なのだ。

そんなセンパイの気持ちが詰まったアマちゃんなのだ。

ありがたいじゃないか( ;∀;)。

 

アマちゃん、重量、11gなり。

 

全てのアルファ米の袋の四隅を削った重さが、一瞬で吹き飛びオマケが増える重さなのだが、

コイツは外せるわけがない。

 

こうして、全ての装備が6kg以内に収まったとはいえ

レースでは、さらに最大2.5リットルの水を担ぐのだ。

トータル10kg近くになる。

 

「普段から、10kgほどを背負って生活せねば」と

たまたま通りかかったスーパーで、即座に

5kg と 2kgのお米を買い、それいらい常に背負いながら

仕事でもランでも、常に米7kgを含め計10kgほどの荷物を持って生活する日々に。

  

こうして、装備を固めつつ、ジャングルに向けトレーニング量も徐々にあげていった。

 

つづく

ジャングルマラソン「未」完走記5:「ダンナが路上生活者ww」

 

「ジャングルマラソンでは、できれば上位を狙いたい」

 

エントリーを決めた時から、密かにココロに決めていた。

 

通常、毎月200-300kmを走るトレーニングをしているが、

10月に開催されるジャングルに向け、6月頃から徐々に走る量も伸びていった。

トレーニングなくば、成長などない。

日々のトレーニングは、真剣そのものだ。

 

6月には、100kmマラソンを3本走った。

柴又100kmマラソン
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飛騨高山100kmマラソン
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サロマ湖100kmマラソン
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3つとも、ダイコンで。真剣に(`・ω・´)。

 

その合間に、トライアスロンのロング(スイム3.8km、バイク180km、ラン42km)もこなしたり。

7月からは、トレイルランの量を増やし、

UTMF(富士山一周160kmレース)の最大の難所「天子山塊」を往復ランしたり、

8月には、憧れだった

UTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン。ヨーロッパ最高峰のモンブランを一周168km)も走ったり

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ウサギ帽子で、ビデオカメラを片手に自分撮り&レポートしながら。

 

真剣に(`・ω・´)。

 
そんな結果、6〜9月は、毎月500km以上を走り、今までとは明らかにトレーニング量も質も

短いラン歴ながら、過去最高のものに仕上がっていった。

 

「そういや、ジャングルではハンモック生活がずっと続くのだ。

ハンモックで寝るトレーニングもせねば(`・ω・´)」

 

砂漠の前には、「寒い中で寝袋で寝るトレーニング」と称して

東京の冬の寒空の下、ベランダでひとり寝袋で寝るトレーニングをしたりもした。

ヨメからは

「あらヤダご主人。家庭内別居ですね(´・д・`)」

と言われながらも。

 

しかし、今回のハンモック練習は、家の中ではとてもムリだ。

ハンモックを張るには、2本の支柱が必要なのだ。

 

さすがに、東京の路上でヤルわけにはいかない。

さっそく次の日の朝ランの時に、近場の公園を走り回ってキョロキョロと物色してまわる。

支えとなりそうなしっかりした木が、ちょうどよい間隔であり、

かつ人目がつかない場所を探さねば。

東京では、実に難しいリクエストだ。

あるには、あるのだが、見つけても先客(先住人)がいらっしゃったりするのである。

 

「家庭内別居どころか、完全に別居じゃんww。

しかも、ダンナがまさかの『路上生活者』www」

 

そうヨメに励まされながら。

 

だが、当時の東京は、夜はまだ暖かった。

ジャングルでは、夜は20℃近くまで気温が下ることもあるそうだ。

「ジャングルの夜と同じような気温下で、ハンモックだけで寒さがしのげるのか!?」

ふと、そんな疑問が持ち上がる。

 

そんな時、ラン仲間の今岡ちゃんが復興支援の一環で主催に関わるレース、

「第一回、いわきセンチュリーライド」の日がやって来た。

僕も選手として参加する予定だったのだが、あいにく東京で予定が入り、

レース参加を諦めていたのだが。。。

 

今岡ちゃんと会話をして、ふと自分を戒める。
「オレ、なんで『行けない』ベースで考えてたんだ。

『行ける』ベースで考えれば、いいじゃないか(; ・`ω・´)」

 

そうして、レース直前に、急遽

「レースは出れないけど、応援しにいわきに行く!ハンモックトレーニングも兼ねて!」

と決定。

いわきならば、東京よりも寒いから、20℃近くでハンモックで夜を過ごすいい訓練になるはずだ。

直前の参加だから、急に宿を追加して迷惑を掛けずにすむし。

東京のように、人目を気にすることないから、警察や近所の住人の方に迷惑を掛けずにすむし。

なんていいアイデアなんだ!

 

 

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いわきにて、ハンモックトレーニングの図。

 

結果、その日のいわき遠野市は、夜15℃近くまでさがり

夜中、あまりの寒さで、急遽宿に駆け込ませてもうことに。

しかも、ハンモックを張った山林の地主さんに、

「裏に、ハンモック張ってよろしいでしょうか(´・д・`)?」

とのご挨拶をさせてもらったり、

実にイロイロとメイワクが増えてしまったのだが(´・д・`)。。。

 
ちなみに、翌日の「第一回いわきセンチュリーライド」は

今岡ちゃんからの

「小野ちん、開会式、せっかくなんで、ダイコンの格好でそこ座ってね」

とのリクエストの結果、

地元の国会議員の先生やらが並ぶ席にダイコンやらコスプレ軍団が並ぶことに

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後方に、ダイコンw
同じく、国会議員のセンセイらと並んで座らせてもらった

ラン仲間のバナナの信ちゃん、今岡ちゃん、チャリンコ業界では著名なコスプレバイカー「キクミミモータース」さんらと。
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注)自転車競技の写真です。キクミミモータースさん以外はノーマルな格好でバイクに乗ります。

 

おっとイカン。また脱線しすぎた。

話しは、ジャングルだった。

 

とにかく、装備も、ランも、ハンモックも、できるうことは全力でトレーニングを重ね

ジャングルへと突き進んでいったのだった。

 

いよいよ、ジャングルだ。

 

つづく

 

ジャングルマラソン「未」完走記6:「いざ、ジャングルへ」

 

全国のジャングルファンの読者の皆さま。

大変、お待たせいたしました。

 

いよいよ、乗り込みます。ジャングルへ。

 

1年ほど前から予約済みのフライトにて

成田 → シカゴ → マイアミ → リオ・デ・ジャネイロ → ベレム → サンタレムへ。

サンタレムの空港に到着すると、そこはさながら「ヘンタイランナー同窓会」。

 

「おぉ!ヒロ!オマエもか!」

とばかりに

北極以来の選手、南極で初めてあった選手などがゾロゾロと集まっている。

 

実は、後から知ったのだが、

ジャングル行きを決めるキッカケのこの写真

きっかけ

をシェアした、南極マラソンで出会ったShirley。

 

カノジョこそが、まさにジャングルマラソンの主催者だったのだ。

彼女も、空港で出会ったヘンタイランナー仲間も、

そういえば南極で仲良くなったトモダチばかりじゃないか。

 

もうみんな、Shirleyのトコロに、

カモがネギ背負うどころか鍋をアタマに被り、

コンロまで牽いてホイホイ集まってきたようなもんじゃないか(´・д・`)。

 

そして辿り着いたサンタレムでは、空港からそのまま待望の「ボート」へ直行。

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おお!なんかイイ感じじゃないの( ・∀・)!!

そして、さっそく船内でハンモックを張り始める選手たち。

このボートで夜通し10時間ほどかけて、スタート地点のキャンプに乗り込むのだ。

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イイ感じじゃないのっ( ・∀・)!!

 

 

その後、さらに続々と選手やスタッフが集まり、気づけばこんなになるまでは(´・д・`)。

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それでも、上機嫌で、こっそり持ち込んだダイコン姿でパチリ。

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そうしてボートでの夜が明け、いよいよスタート地点のキャンプ地へ

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ここから先は、もうジャングル。油断は禁物だ。

 

着くなり、キャンプ地にてハンモックで陣地取り合戦が始まる。 

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木は多いのだが、ちょうど良い間隔で、体重を載せてもしならない木は、

どんどん他の選手らで埋まって行く。

みんないい場所をなんとか確保するべく一生懸命。

これは、実際のレースが始まったら、毎日起こるに違いない。

 

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「あのー。ハンモックの上に、

なんか大きな巣みたいのがあるように見えるんですが(´・д・`)」

なんて、ワガママは言ってられないのだ。

 

ここは、ジャングルなのだ。

 

さっそく、周囲は見たこともない虫やら、いろんなイキモノがいる。

いくら「日本では無いレベルのディート(虫よけ成分)が入った薬」を塗りたくろうが、

平気で虫達がよってくる。

特に、マラリアの原因となるハマダラカは、羽の色や後ろ脚の特徴でソレとわかるのだが、

常にそこいらを飛んで刺しまくってくる。

 

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こんなカンジ。実際のハマダラカは写真に収められなかったので、「アマちゃん」にてイメージ図。

事前に用意した、マラリアの対策薬もしっかり摂取。

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その名も「マラロン」。

マラソン用の薬ではなく、マラリア用の薬でございます(`・ω・´)。

 

そして、こんなニワトリの家族らまでキャンプ地を縦横無尽に走り回る。DSC02570

 

ヘンテコリンな虫やらコワい生き物に囲まれたジャングルにおいては

「ホンワカ生き物」系にしか見えないニワトリらですら、

のちに「ジャングルの脅威」になるとは、夢にも思わなかったのだが・・・。

 

このキャンプ地にて2晩過ごし、ジャングル生活に慣れてから、

レースがスタートすることになる。

事前に、ジャングルやレースでの様々な注意点の説明会も行われる。

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一般ヘビと毒ヘビの特徴やら

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毒ヘビにもイロイロな種類があり、毒の強さも異なるおハナシやら

 

(ガチでご注意)
※次の写真はコワいので、ゴハン中や、コワい方はご注意ください。ちっちゃく張ります。

 

 

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毒ヘビに噛まれた方の写真など。

 

「コワっ(´;ω;`)!!!」

 

その後も、これでもかとコワい生物の写真と説明が続く。

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「タランチュラさんは、飛びかかる前に前足を上にあげ、ジャンプします」

という身振り付きの説明など。

 

印象深いのは、万一、毒ヘビに噛まれた時の対処法として

レンジャー部隊のスタッフからの説明と、ドクターの説明が真逆だった事。

 

レンジャー
「動くと毒(血)が回るから、その場にとどまり、他の選手やスイーパーが来るのを待つこと」

ドクター
「そうではなく、自力で、最寄りのチェックポイントまで自力で来るように。これはセルフサポートレースなのです」

 

そうなのだ。

スタッフがいるとはいえ、これは、セルフサポートのジャングルマラソンなのだ。

 

 

危険の回避も、トラブル時の判断も、最終的には、全て自分に責任がある大会なのだ。

 

そして、危険なのは、動物、虫ばかりではない。

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スタッフが持っているのは、何の変哲も無いような、細い枝。

コレ、細かい棘が全面についており、触ると痛いし、衣服にひっかかるのである。

DSC02588枝だけではなく、草や葉っぱでも同様のものがある。

普通の植物と、外見ではほとんど見分けがつかない。

 

「やはり、いままでのレースと全く違うなコリャ。

暑さや気候だけではなく、

虫、動物、植物。様々な生き物達が最大のハードルになるに違いない」

DSC02600 

そう。この後、まさに「様々な生き物」との、壮絶なレースが展開されていくこととなる。

 

つづく

ジャングルマラソン「未」完走記7:レース、スタート

 

ジャングル初夜。

ジャングル内でハンモックで過ごす、初めての夜が、始まる。

もちろん電灯など無いし、

密林の中なので、あたりは太陽が沈むよりも前から、すっかり暗くなる。

そして、暗くなるにつれ、徐々に生き物達の動きも活発になる。

 

昼間は見かけなかったような、

親指の爪ほどのデカさのアリが大群で地上や木を行進しはじめる。

それを見て、選手たちも、

慌ててハンモックを吊るすロープにも虫よけをたっぷりかけ始める。

 

蚊帳付きのハンモックでも、アリの大群に上がられる事を想像すると恐怖だ。

 

ハンモックから降りる際も、地上や、シューズの中に虫が居ないかチェックするのは重要だ。

そんな恐ろしい地上の、わずか数十センチ上の空中を背にして眠るのは、

なんとも心もとないものだ。

 

ただでさえレース中は緊張感からか眠りにつけないクセがある僕は

今回も睡眠導入剤を持って臨んでいた。

 

夜8時頃にはハンモックにもぐりこみ、就寝。

そしてようやく深い眠りに落ちた、深夜2時に、それは起きた。

 

 

「コケコッコー」

 

どこかで、一匹のニワトリが、小さく鳴き声を上げた。

 

 

そしたらどうだ。

 

「ンゴ、ゴケコッコー!」

 

「ゴゴ、ゴケコッコー!」

 

「ンオゲゴッゴー!!!」

 

そこいらじゅうのニワトリらが、

負けじと大合唱を始めだすではないか。

 

「ニワトリって、朝鳴くもんじゃないの(´・д・`)??」

 

周囲の選手たちもたまらず起こされたようで、

暗闇から様々な表現での

「fu◯k!」だとか「sh◯t!」だとか

 

「っざっけんじゃねーよ(゚Д゚)」

 

と嘆き声が聞こえ、やがて失笑に変わっていく。

 

よもや、ニワトリが脅威になるなんてw。

 

しかたがないのだ。

ここは、ジャングルなのだ。

 

 

さらに、朝3時頃、再び、はっと目がさめる。

 

「えっ”?? 火事かっ!!??」

 

大量の消防車のサイレン音が響き渡っているかとおもいきや、

どうやら、大量のサル達が叫び声をあげているらしい。

都会でも聞けないような騒音レベルで。

 

ここは、ジャングルなのだ。

僕らニンゲンこそが、異邦者なのだ。

 

すでにジャングルは何度も来ているはずの主催者のShirleyですら

大きなアリに噛まれたようで、

スタッフに抱えられながらフラフラと歩くようなトラブルも起きた。

改めて自然の怖さを思い知らされる。

 

そんなキャンプ地での2日間で

コース説明、メディカルチェック、装備チェック等を経て

ジャングル3日目の朝、いよいよ、レース、スタートだ。

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伝説のピコハンさえあれば、なんとかなるはずだ(`・ω・´)ゞ。たぶん!
緊張の中、スタート地点に立つ。

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そこに、タイムキーパー役として参加していたDavidが嬉しそうにやってくる。

「ヒロ、君には特別に、ぜひこのGPSを付けて走ってみて欲しいんだ。

記録を取ってみたいんだ!」

 

そうして渡されたのがコレ。
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えーと、持ったらゆうに300gはありそうなんですが( ;∀;)。

 

実はDavidとは北極、南極でもタイムキーパーをしてもらった友人だ。

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(左がDavid。僕の手に持っているのが、タイムを測るタイミングチップ)

 

1g単位で荷物の重量を意識していたことを告げ、

別の選手に持ってもらうよう頼もうかとも迷ったのだが、

他でもないDavidの頼みなのだ。

断るのはオトコじゃない( ;∀;)。

 

「ぅ、うん。いいぜっ!(`;ω;´)ゞ!」

 

 

いよいよ、レースへ。

選手、スタッフたちとカウントダウン。

スペイン語でカウントダウンなので、

いったいいま何秒前なのかがサッパリわからないw。

 

初日のステージ1は、約23kmと短いコース。

しかも、コース上に4つもチェックポイントが設けられ、

そのチェックポイントで「全選手、必ず15分休まなくてはならない」ルールだ。

これは、いままでのレースでは経験が無いし、なんだか随分ラクそうに感じる。

 

しかし、事前の説明会でも何度も

「いままで砂漠レースなど走ったことある選手も

『ジャングルは砂漠とは全く違う』

と肝に銘じてほしい」

そう繰り返し強調されてきた。

初日の距離が短いのも、「チェックポイントで15分休む」ルールも全て

「ジャングルはどんなトコロかを知って慣れるため」だそうだ。

 

その、ジャングル1日目の動画がコチラ。

( 35秒目あたりで、ピコハンを持ちジャングルを駆け抜ける小野の勇姿がご覧頂けますw)

走るどころか、まっすぐ進むのも大変な密林はあたりまえで、

山もあれば、川もあれば、泥沼もあれば…

約3〜6kmおきにチェックポイントで15分休めるとはいえ、

初日から、存分にタフなのだ。

なにより、とにかく、コースに迷う。

コースを示すのは、赤、黄、青の小さなビニールテープなのだ。

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テープの色に特に意味は無く、ランダム。

特に黄色のテープは、密林中で極めて見つけにくいのだw

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↑こんな中に小さく黄色いテープがあったりする。

 

「密林の中は、赤色テープ使えばいいじゃん(´・д・`)

とも思ったが、甘くはない。

 

「赤いテープハッケン( ・∀・)!」と思って進んでみたら

密林ではめったに見ない赤い花

だったりするのであるww。

 
障害はコースロストだけではない。

密林内を走っていると、先が見えないコース上で、

急に左右に鋭角で折れ曲がったりの連続で、

通常のトレイルとは比較にならないレベルで足首に負担がかかる。
(しかも、重い荷物を持った状態で急に方向転換をするとなおさら)

さらには、日中でも密林内では足元が暗く、葉っぱや枝やら茂みやらに埋もれており、

足をひねること、枝に足を引っ掛けてコケそうになること、多々。

しかも、コース上に木が倒れているのは日常なので、

時にくぐり、時にジャンプし、時によじ登ったり。

とにかく、まともに走るだけでも大変なのだ。

それでも、川渡りなど、普段のレースじゃまずないコースの連続は、とても楽しい。

 

 

 

Jungle 2
初日は、抑えて抑えてとおもったものの、結果はなんと3位でゴール。

ジャングルマラソンは、距離により3つの部がある。

42km(ステージ4のみ)

126km(ステージ1〜4)

260km(ステージ1〜7) ← 僕も出ている部。最初は254kmと聞いてたのだがw

 

260kmの部の参加者は4-50名ほどと

参加人数が少ないとはいえ、見渡すばかり腹筋6つ割れの

いかにも強そうなランナー体型、アスリート体型の選手ばかりだったので、

初日3位の結果には正直驚き。

 

とはいえ、まだ初日。

しかも、レース中は気が付かなかっただが、

ステージ1ゴール後に右足に鈍痛があるのに気がつく。

 

レース中、あまりに何度も足をひねったり、

急な方向転換を繰り返したせいか、

アタカマ砂漠前にもケガをした右足の古傷に痛みが再発したようだ。

 

「これは、まだまだ波乱の連続のレースになりそうだ」

 

つづく

ジャングルマラソン「未」完走記8:ステージ2「小さな、事件」

 

ステージ1をゴールしたら、最初の仕事はハンモック張りだ。

たくさんの木が茂るジャングルでも、ハンモック張りにいい場所を確保は意外に難しい。

木が太すぎると、ヒモをかけにくい。

細すぎると、木がしなってしまう。

木と木の間が近すぎても、背中がしなった状態で寝なくてはならず

睡眠もとりにくい。

早めにいい場所を確保することが、疲れをしっかり取ることにつながる。

 

ハンモック張りの次は、ウェアの乾燥だ。

砂漠とちが、湿度が100%近いジャングルでは、

レース中の汗やら泥やら川の水が、乾かずそのまましっかりじっとりウェアに残っている。

 

これを少しでも搾り、密林で影が多い中少しでも陽に当たる場所を見つけて乾かす。

ステージ1は短い距離だったので、乾かす時間もある程度とれるが、

長い距離になってからは、恐らくウェアが乾かないまま夜を迎え、

翌朝もズブ濡れでニオイも残るウェアを着てスタートすることになるのだ。

(砂漠では、乾燥が激しいため、7日間の汗が染み込んだウェアでも、ニオイはあまり気にならない)

やはり、コースはもちろん、コース上にいない時でも

砂漠とは全く違うレースになりそうだ。

 

そんなジャングルでの一番のココロの休息は、

現地に届く応援メッセージ。

インターネット環境は無いのだが、

オフィシャルのウェブサイトに投稿された応援メッセージが

スタッフによりプリントアウトされて、ゴール後の各選手に渡されるのだ。

ボクにとっては応援メッセージこそが、なによりのパワーとなる。 DSC00736

 

1通もメッセージが届いていない選手も多いなか、

有難いことに、ボクの元には初日から大量のメッセージが届いている。

スタッフも「オマエ、いったい何人カノジョいるんだ(´・д・`)?」とからかうほど。

 

タイミングよく、ジャングルに旅立つ日にNHKに大きく紹介頂いたり、

直前に著書「マラソン中毒者」の出版 があったりしたお陰とはいえ、ありがたいm(_ _)m。

束となったメッセージの紙を片手に、意気揚々とハンモックに戻るも、(;・∀・)ハッとする。

 

「これ、日々増えていったら、

紙とはいえそこそこの重量になっちゃうんじゃないの?(; ・`ω・´)」

 

しかし、読んだからといって、もちろん捨てるわけにはいかない。

こういったメッセージこそが、ボクのエネルギーなのだ。

今後のレース中、キツくなった時に、救ってくれるハズだ。

でも、少しでも重量を軽くするため、

1枚1枚メッセージの余白をハサミで切り取り、軽量化だ(`・ω・´)。

 

そして、もうお馴染みとなった

「真夜中のゴゲゴッコー」 

な夜も越え、ステージ2の朝がやってくる。

 

ステージ2も24kmと短く、

コース中の3つのチェックポイントで、やはり15分間の休憩を強いられるようだ。

しかも、スタートしょっぱなから、100mほどの川越えだ。

DSC00753

 

正直、泳ぎはニガテなんですが(´;ω;`)ウッ…

 

伝説のピコハンが流されぬよう、ウェアの中にしまい込み、スタートと同時に川へと突入。

1374307_535749916500429_545291478_n(↑右端がボク)

その後は、ステージ1同様、何度か激しくコースロストしたり

あやうく一回転するほどの大コケを2〜3度したりしながらも、

ペースは抑えつつも順調に密林を駆け抜けていく。

 

事前に説明を受けていたとおり、密林内では、

ウェアにひっかかる葉や枝がコース上にせり出して来ていたり

それらのトゲで擦り傷が出来たり血が流れたりは日常茶飯事なのだが、

この日、小さな事件が。

 

順調に密林を走っていると、

突如、右脚に何かが引っ掛かったようで、前に進めなくなる。

 

大きなトゲのある枝に、右脚が取られたか??

 

徐々に痛みも感じ、右脚を見てみると。。。

 

なんと、密林内に、

ナゾの有刺鉄線

が張ってあるではないか。

しかも、いかにもコースが続きそうな場所に、わずか2mほどだけなのだ。

 

僕は、走っていてそこに思いっきり突っ込んだのだった。

 

「何でこんな密林のど真ん中に(´・д・`)??」
自然のトラップで何度もコケていたボクだが、

まさかニンゲンのトラップ?でケガをするとは。

 

ズボンが裂け

DSC00814
その下に履いていたロングタイツも穴が開いてしまった

DSC00740
幸い大した血は出なかったのだが、この後、腫れてしまった。

DSC00742

ケガ自体は大したコトが無いのだが、

それよりも「何であんなトコに有刺鉄線が??」というショックが先行する。

が、ただでさえ暑くて息苦しく、油断すると朦朧としてしまう環境だ。

すぐに、そのままゴールへと向かい続ける。

 

結局その日は、ゴールの手前で、突如風のように後ろからボクを追い抜いていった

ブラジルの選手Xが3位に入り、ステージ2単独では4位となった。

 

そのブラジル人選手Xも、オリンピックのマラソン選手のようなアスリート体型で

いかにも速く走れそうだ。

幸い、彼はステージ1でボクの40分以上も後にゴールしていたようで、

総合順位では、まだボクは3位。

しかも、4位以下に30分ほども差が開いている。

ステージ2の時点で30分の差はかなりデカい。

強豪選手が多そうに見えるが、そこそこ闘えるかもしれない。

 

この日は、ゴール後も闘いが続いた。

ゴール後、いい場所を確保できたハンモックで休憩していたら、

 

「パラパラパラ」

 

と雨がハンモックの雨よけに当たる音が。

それが次第に

 

「ザーーーーッ!!」

 

どデカいスコールがやってきたのだ。

 

ハンモックの雨よけがあっても、風でなびかされ、

時にじゃんじゃん雨水がハンモックに入ってくる。

 

背中の部分が水たまりになり、休憩どころではなくなっていく。

 

(まぁ、ガマン。スコールなんだから、そのうち止むはずだ)

 

しばらく後、ようやく雨足が弱まったスキに、みんな

ハンモックの雨よけの補強をする。

 

DSC00744

 

ちゃんとした雨よけがついてないハンモックの選手にいたっては、

もはや寝床がズブ濡れだ。

 
そうして、みんなでハンモックを張り直している時に。。。

再び

 

「ドザーーーーーーっ!!」

 

今度は遠くで雷の音も聞こえる、さらにどデカいスコールが。

またもや、ズブ濡れ。

 

結局、この日は3回、どデカいスコールに見舞われる。

DSC00750

 

しっかりと雨よけを張れた選手のハンモックには、大勢の選手達があつまるw。

 

「コレが、寝ている夜中に起きたら、かなりタイヘンな事になるだろうな…」

とはいえ、自然が相手なのだ。起きる前提で前処しておかねば。

これまでの砂漠レースでの、

風雨の心配がほぼ無く眠れる環境が、いかに有難かったことか。

まだまだ、ジャングルでは何が起こるかワカラナイ。

つづく

 

ジャングルマラソン「未」完走記9:ステージ3「ピューマ地帯へ」

 

ステージ2の夜は、幸いにも大きな雨には見舞われず、

いつものニワトリやサルらの深夜の大合唱を越え、朝を迎える。

今日は、ステージ3。

ステージ3からが、レースの本番だ。

距離は38kmに一気に伸び、それまで3〜5kmだったチェックポイント間の距離も

時に10kmを超える。

しかも、今日からは「チェックポイントで15分休憩」ルールが無くなる。

もう、ジャングルに慣れた前提でのレースということだ。

 

そして、この日のコースは、いよいよ本格的なジャングルの奥地へと入っていく。

ステージ3のゴール地点は、ピューマの頭数が一番多い地域だそうだ。

 

この日も、150mの川渡りからのレーススタートし

よりうっそうとした密林地帯を進んでいく。

 

ステージ1、2と、存分にジャングルを堪能し、

もう十分慣れてきたと思っていたのだが、さすがにジャングルの奥地は違っていた。

 

コースロストどころか、あやうく、遭難しかけること2〜3度。

これまでも、コースマークを見失い、

「コッチか?いや、向こうか?」と悩ましい場面はあったのだが

もはや、どこに進めばいいか、全く分からないような場面が出てくるのだ。

 

しかも、コースロストした?と思い、直前のコースマークがあった場所に戻ろうにも、

ドチラに進めばいいかわからないような密林っぷりなのだ。

 

砂漠でも、コースマークを見失い遭難の危機を感じたことがあったが

移動するだけでも密林をかき分け進まねばならぬ環境では、全く違う恐怖がよぎる。

 

時に、「ここが??」という場所も、コースマークが無いながら、実はコースだったりするのだ。

DSC00758

 

↑↑ この正面がコース。この藪にも、左右どこにもコースマークは無いので、

どこへ進めばいいのか迷うのだが、藪を乗り切ってみた先に、コースマークがちゃんと続いていた。

 

さらに、あろうことか、枝などに付けられたコースマークが、地上に落ちていたりもするのだ。

ボクだけではなく、特に上位で走っている選手ほど、

ほぼ全員ロストや遭難の危機を体験していた。

 

歩いて進めば、マークも見つけやすいのだが、走るほどに、見落としにくいのだ。

 

 

もちろん脅威は、コースロストだけではない。
レース前に「植物にも、トゲがあったり危険なものがある」と説明を受けて

「なるべく、植物にも触らないように」

なんて考えていたのだが、アマちゃんである。

 

藪を抜ける時に、ひっかかる枝のトゲがカラダ中に突き刺さったり、

ムリに走って藪を抜けようとして、絡まってそれ以上前に進めなくなることも。

こうなるとマヌケだ。

そのまま、後退りしてやり直すしかない。

 
さらには、四つん這いにならないと登れぬような急勾配の山(それも何度も)を登る際、

たまらず掴んだ木の枝の表面にアリの巣があり、巣の天井が破れて大量のアリが

溢れだし手に登ってきたり。

 

助けを求めて必死に枝を掴んだら、

そこから大量のアリが吹き出すのだ。

 

初めて体験した時は、

はっきりいってホラーだ。

 

選手によっては、アリの大群に噛まれて

身体がアザだらけになったりもするのだ。

 

もう、コワくてどこも触りたくないのだが、

「触らずに」というより

触れずに密林を抜けることなど不可能な状況なのだ。

 

時に、20cmほどあろうかという巨大な真っ青なチョウが目の前を飛んで癒やされたかと思うと

親指ほどはあろうかという真っ黒なハチ?がホバリングしてまとわりついてきたり。

 

えーー、ワタクシ、ジャングルにて

実は、虫がニガテだということに気が付きました( ;∀;)。

 

 

細い木をジャンブして超え着地した足元に小さな枝が隠されており、

思いっきり足をひねったり、時に躓いたりコケたり脚をぶったり

泥沼で危うく脚が抜けなくなったりシューズが持って行かれそうになったり。

 

もう、障害物競争というより、

そこらじゅうトラップまみれなのだw。
ステージ1から早くも痛めていた右脚を庇って走りながらも、

なんとか痛みが増さずに済んでいたのだが、

ステージ3が進むうちに左足首のダメージがかなりひどくなってしまっていた。

 

それでも、こんな楽しそうに走りながらもゴールへ向かう。

 Jungle 1

まだ3日目にして、かなりタフな思いを繰り返しながら、

なんとか4位でゴール。

ボクを追い上げてきていたブラジル人の選手Xは

この日も急激にペースをあげ、コース中盤でさくっと僕を抜いていた。

それでも最後は、総合2位の選手と一緒にゴールに入れたため、決して悪くはない出来だ。

 

総合順位も、まだまだ4位のブラジル人選手Xとは20分ほど差があるも、

彼の追い上げっぷりがあまりに凄まじい。

 

「こりゃ、明日には総合順位でもXに抜かれるのは仕方がない。

でも、まぁいいんだ。

いつもどおり、自分のベストを尽くした走りを続けよう。」

 

この日は、他の選手たちもみな、フラフラになりながら帰ってくる。

最後の方の選手は、既に真っ暗闇の中にゴールに帰ってきた。

ピューマがたくさん生息するジャングルの奥地だけに、夜は危険だ。

スタッフもレンジャー部隊と共にコースを逆走して、最後の選手を迎えに行ったほどだ。

 

この日も、スコールはやってきた。

昨日までより遅い時間のゴール(とはいえ午後1-2時)で

陽が当たりにくい密林のキャンプ地だけあって、

いくら干そうにもウェアは夜までズブ濡れのまま。

DSC00763
少しでもウェアを乾かしたいボクは、夜に焚き火の近くで

トップ選手のBernardとウェアやシューズを乾かしながら、談笑していた。

その時。。。

 

なんだか、右脚がモゾモゾ気持ち悪い。

 

気になって、ライトを右脚に当ててみると。。。

 

 

 

「た、タランチュラさんじゃないですか(´;ω;`)」

 

 

5cmほどと小さめではあるが、事前の説明会で見た写真そのまんまの

毛だらけのクモが、右足首の上に登ってきている。
とても、手は出せない。

とっさに、思いっきり脚を蹴りだし、振り落とそうとする。

 

 

落ちない( ;∀;)
再び、脚を引き上げ、思いっきり蹴りだし、何とか振り落とす。

 

 

お、おっかなかったアルヨ(TдT)

 

 

その様子を見ていたトップ選手のBernardは、

コース上で10cm以上のタランチュラを見かけたそうで

「タランチュラの毒は、そんなに(死ぬほどは)強くない」と笑っていたのだが、

 

ボク、ぶっちゃけビビリなんです(TдT)。

 

 

もう、その後は焚き火の周りにいても、常にライトで地上を照らさねば

とても怖くていられない。
ジャングルの奥地だけあって、いつも以上に虫に溢れている。

ゴハンを食べようとリュックを開けようと見てみたら、

デカいアリが大量にリュックにたかっていた時の恐怖たるや。

 

モウヤメテー( ;∀;)

 

ここは、ジャングルなのだ(´;ω;`)ウッ…。

 

その夜は、痛みが増す足首のダメージなどすっかり忘れるほどに

怯えきって眠りについたのだった。

 

つづく

ジャングルマラソン「未」完走記10:ステージ4「大ブレーキ」

 

ステージ4は、ジャングルの奥地のキャンプ地がスタート。

このステージは42km。これまでで最長の距離。

そして、このステージをクリアすれば、

明日は108kmで夜通し走るステージ5。

ステージ4と5が、正念場だ。

DSC00770

 

スタート前に、ピコハン片手にパチリ。
そうしていつものように、トップ集団の後方よりスタート。

 

が、スタート直後より、やたらに調子があがらない(´・д・`)。

 

食事も睡眠も、しっかりととれているし、

幸い脚の故障もそこまでの痛みではない。

 

なのに、何故なんだ。
まだ2-3kmも進んでないのに、やたらと苦しい。

 

ダメージが蓄積している左足首を思いっきり捻ってしまったところで

たまらず、歩きに変わってしまった。

 

頭もボンヤリとし、気持ち悪い。

とても、走るどころか、フラフラと歩き出す。

 

どうしたというのだ。

 

この日の最初のチェックポイントは13km地点。

まだ、10km近くも先だ。

しかも、それまでに1kmものあいだ川を進み、その後1km泥沼を進むコースが待ち構えている。

 

「チェックポイントまですら、辿り着けないのでは。。。」

 

あまりの急な体調不良に、不安が徐々に恐怖に変わりそうになる。

 

でも、過去にも経験がある。

歩くのもツラいほど調子が悪くなってしまい、フラフラになってしまっても

耐え続けて歩いていれば、そのうち調子が劇的に戻ってきくることもある。

 

「今回だって、大丈夫だ。やれるはずだ」

 

そうフラフラと歩くうちに、

普段はコース上で会うことのない後方の選手達にも次々と抜かれていき、

ついには、ほぼ最後尾グループの選手の顔さえ見えてくる。

 

ココロが、折れそうになる。

 

4位以下の選手にはまだかなり差をつけているとはいえ、

急速に追い上げてきているブラジル人選手Xには

今日で総合順位も確実に抜かれるだろう。

 

いや、そんなことはどうでもいい。

なんとか、チェックポイントまでたどり着かねば。

 

ほぼ最後尾に近いところまで順位を落としながらフラフラと歩くうちに

川を進む地点まで辿り着く。

 

選手たちが、川に半身つかり密林の奥へと進んでいく。

川底は泥や木まみれのようで、歩くのもままならないようだ。

DSC00774

 

先に続くコースを見て、思わず、川の手前で完全に座り込んでしまう。

こんな難コースが1kmも続くのか。

いまの体調だと、この1kmを越えられるかすら自信が持てない。

 

ここで、レースを終えたほうがいいのではないか?

危ないんじゃないのか??

 

ふと、そんな考えが頭をよぎる。

でも、今までも数々のレースで、ピンチをくぐり抜けてきたじゃないか。

 

ゆうに30分近くは、何名かの選手をやり過ごしながら、

しばらく座り込んだまま、悩みつつ、カラダを休めた後、

ええい!!

とばかりに意を決して川に飛び込んでみた。

 

 

 

「あれ???

 

冷たくってキモチイじゃないの(;・∀・)」

 

 

ジャングルの奥地ほど、湿度が高く、不快指数も高い。

体調の不良は、暑さによる熱射病的なものだったのだろうか。

川にはいったことでカラダが冷えて、少しずつ気分がよくなってくる。

 

しかし、とんでも無いコースが用意されているものだ。

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川は濁っており、川底には大量の木が沈んでいる。

常に足場が見えず、川の中で何度も脚をぶつけ、木の間に挟まって捻ってしまう。

 

でも、徐々に体調が戻り、楽しさも増してくる(写真も増えるw)。

DSC00779

そうして、川の中をひたすらさまよう1kmにコースの次は

泥沼1kmコース。

DSC00790

ここも、ひたすらに足元が悪いw。

 

DSC00792

こんな感じw

 

足元が突然深くなるトコロもあるので、トラップまみれ。

DSC00796

 

 

それでも、体調が少しもどった事で、こうした難コースでも、超える楽しさが戻ってくる。

 

そして、泥沼コースを超えた後は、通常に近いランに戻ることができ

今までに抜かれた選手たちをぐんぐんゴボウ抜きして進んでいく。

 

「やっぱ、もうダメだと思っても、耐えていれば戻ってくるものなんだよな」

 

しかし、そんなに甘くはない。

2つ目のチェックポイントを越え、30km近くまで進んだ時点で

またもや、歩くのもやっとなほど、気持ちが悪くなってしまう。

30km地点にある3つ目のチェックポイントで、またもや座りこんでしまう。

 

そして、おトイレをした時に思わず「あっ」と声を上げた。

 

オシッコが、真っ赤なのだ。

 

脱水は一番の敵である。

脱水症状はオシッコの色が次第に濃くなるほどに危険である。

 

いままでの多くのレース経験を元に

ジャングルでも常に意識して水分・塩分補給をしてきた。

特にジャングルの方が、汗が乾かないので、砂漠より発汗量がわかりやすい。

 

十分に脱水対策はできていた積りだが。。。

 

しかも、脱水ならば、濃いオレンジになるはずのオシッコが

真っ赤に近いのだ。

今までにまったく体験の無い色。

 

「もしや、血尿。。。? 腎臓が、やられてる??」

 

ドクターに相談をすると

「とにかく、水を飲むこと。もし夜になっても改善しない場合は、もう一度相談に来るよう。」

そう指示をもらう。

 

ただでさえ、常にカラダはケガをして腫れたり、虫にさされたりの環境。

何かに感染して病気か? など、やはり不安になってしまう。

でも、できることは限られている。

ひたすらに水を飲み続け、しっかりと休憩をとり、立ち上がる。

 

ゴールまで、残るは約13km。

 

大丈夫だ。歩き続ければ、たどり着ける。

 

そうして、一晩たてば、体も回復するはずだ。

 

一度は追い抜いた選手たちに、またもや抜かれ続け

再び悲しい気持ちになってくる。

 

 

悔しい。

 

抜かれてしまうことではなく、

こんな状態になってしまう自分が、悔しくてたまらない。

 

 

本の出版でも、NHKの取材でも、実にたくさんの方にお世話になった。

その過程で、今まで以上に僕に期待を寄せて応援してくれる方が増えた。

 

ランをはじめたばかりの4年前。

ランを始める前の、35年間運動ゼロだったデブだった頃。

こんなに沢山の人に応援を頂ける存在になるなんて、想像していなかった。

 

 

 

それなのに、何故なんだ、こんな情けない自分よ。

 

 

既に「束」というよりも、ちょっとした「塊」レベルに膨らんでいた

沢山の人達からの応援メッセージの紙を思い出す。

 

 

「期待に、少しでも応えたい」

 

少しだけ、カラダにチカラが戻ってくる。

ヨチヨチながら、走り始める。

 

やれば、できるはずだ。

何度も、経験してきたじゃないか。

 

再び、走り始め、徐々に順位も戻していく。

そうして、最後はしっかりとしたランで、ついに42kmを走りきった。

 

順位は大幅に落として総合9位ほどになっていたが、

上位の選手たちから心配され、

「それでも、十分速いじゃないか」と励まされる。

 

「ありがとう!

とにかく、ここに辿り着けただけでも本当にハッピーだよ!」

 

危うく、13km地点のチェックポイント1に辿り着く前でリタイアも考えた程だったのだ。

 

やはり、やれば、できるんだ。

そして、何より、みんなからの応援があって、やれているのだ。

 

嬉しさと、自信と、感謝でまたカラダにチカラが戻ってくる。

とにかく、しっかり水を飲んで、身体を休めなければ。

 

レースのタフさを物語るように、他選手にもダメージが濃く見える。

特に、すでに4日目にして、ジャングルをかき分けるうちにシューズがボロボロになる選手が多い。

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破れたシューズを縫いつけている選手や

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完全にシューズがイカれてしまった選手も。

しっかりとしたトレイルシューズでも、ジャングルの様々な植物で、ボロボロになるのだ。

 
(つぎ、ちと、グロいです)

 

常に足が濡れっぱなしで、足まめも酷い選手がほとんど。
(幸い、僕は足まめはできなかった)

 

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ともかく、明日は、いよいよ、勝負のステージ5。

108kmにも渡る、夜通しのステージだ。

これを乗り越えれば、完走がほぼ決まるのだ。

 

つづく