カテゴリー別アーカイブ: サハラ砂漠250kmマラソン

すべては、この1枚の写真から:エジプトサハラ砂漠250kmマラソン完走記

すべては、2年前に見つけた、この1枚の写真から始まった。
$Keep Challenging
「砂漠を7日間で250km走る??しかも、7日間の衣食を全て背負って!?」
「アホ杉ww。でも、なんだか、凄すぎる。もし、こんな風な経験できたら、スゲーかも」
このブログは、
自分にとって「まさか」だった「サハラ砂漠250kmマラソン」の夢が、
現実として「サハラを超えて」いった完走記です。
そして、サハラ砂漠250kmマラソンだけではなく、
ボクが2年ちょい前に走り始めた経緯からの、
いわば(まだ短いですが)「ラン人生」の総括でもあります。
はじめにお断りしますが、
「砂漠250kmを完走したランナー」なボクは、ひょっとすると皆さんから
「違う人間」と思われるかもしれませんが、
僕は2年前まで、マラソンはおろか、
36年間スポーツとは無縁&大の運動音痴の人間でした。
※ 現在より15kg以上体重が重かった2年前(体脂肪20%超え)
$Keep Challenging
そんな僕が、2年前にダイエットから始めたジョギングから、
様々なキッカケを経て「サハラを超えて」いくに至る様子を通して、
「自ら創るチャレンジが、自らの未来を創る」という素晴らしい経験の共有を
少しでも多くの方に共有できたら、それ以上の喜びはありません。
■目次:
スタートはいつだって「ノリ & ポチり」:ラン始めから、初砂漠に立つまで
初砂漠「ゴビ砂漠250kmマラソン」完走~「砂漠会議前夜」
砂漠会議
サハラ砂漠レース前夜
いよいよスタート!Stage1
Stage2 Desert Door
Stage3 “Sea of Sand”
Stage4 Castle in the Sand
Stage5 再び訪れる悪夢、そして。。
Final Stage ピラミッドの待つゴールへ

スタートはいつだって「ノリ & ポチり」:ラン始めから、初砂漠に立つまで

2年前まで36年間、運動とはほぼ無縁。
体育の成績も常に中の下という運動能力の低さ。
そんな僕が2年前にジョギングを始めたキッカケは、コレ。
$Keep Challenging
まさかの “Wii Fit” (´・ω・`)
当時、あまりに体重が増え(現状+15kg以上の73kg程)
「さすがにダイエットしなきゃ」と思い、Wii Fitで遊んでみる。
Wii Fitのメニューに「ジョギング」なるモノを見つけ、やってみる。
なるほど、Wiiリモコンを持って、部屋の中でジョギングのフリをすると
画面の中の自分が走ってくれる。こりゃ(・∀・)イイ!!
でも、狭い部屋でぐるぐる回ってWii Fitで走っているうちに
「これ、オレ、回し車の中をグルグル回るハムスター状態じゃねーか(´・ω・`) 」
「ちょっと、外でも走ってみようか」
そんな、軽いノリが、ジョギングを始めたキッカケ。
もちろん、いきなりフルマラソンを走れたワケじゃない。
最初は2kmも走れない。
しかもその後3日は筋肉痛/(^o^)\。
でも、ジョギングが面白いのは、1-2週間もすると
体重にきっちり変化も出てきて、少しずつだけど、走れる距離が伸びたり、
筋肉痛の出かたが減ったり、「努力する程に、メキメキと結果(数字)についてくる」コト。
そして、ジョギング後のメシも水も、もちろんお酒も、
ビックリする程ウマいコト。
もともと凝り性なのが幸いし、
気づけば目的がダイエットから「もう少し距離を伸ばしてみよう」
とジョギングが目的に変わっていった。
1ヶ月もすれば5-6kgは体重も減っていった。
それでも、「フルマラソン(42.195km)」なんて、
とても現実世界のモノとは思えない。
5kmをちょいちょい休みながら走れるようになり、
「走っている自分」に自信を持ち始めたある日、
久々にメシを食った後輩と話していて、
「後輩のEは、あんなにヒヨワなのに、
ノリでホノルルマラソンにエントリーして、練習ゼロなのに完走した」
という話を聞き、負けず嫌いココロに火が。
「なんだよ、アイツに出来るんだったらオレもやれるハズじゃん」
帰宅し、速攻ネットでマラソン大会を探す。
「スゲー、いまやネットでクレジットカードでマラソン大会をポチれるのか!」
「ちょっと無謀かもだけど3カ月後のフルをポチってやる!その予行演習に、2カ月後のハーフマラソンもポチってやる!」
「後戻りできないように、ツィッターでフル走る宣言をしちゃうぜ!!」
よし。これで、退路は塞がれた。
ノリとインターネッツってコワイぜ。
そうして、練習で走る距離も5kmから10km、15km、20kmと伸ばし、
ランを初めて4ヶ月。なんとか初フルも無事完走。
すると、ツィッター上で多くの人が「やったね!」とか「おめでとう!」と言ってくれる。
こんなに、嬉しいコトは無い。
初フルを完走できた感動と自信から、
さらに自信を増し
「今度はもっとタイムを縮めてみたい」とすぐに2カ月後、4ヶ月後のフルを
ノリでポチリ。
もちろん、ツィッターで「出走宣言」をして退路を塞ぐ。
そうしてこの頃、偶然に、この衝撃の写真に出会う。
$Keep Challenging
「サハラマラソン?? 何なんだ??この世界は!!!」
もちろん自分が走る対象とは考えてなかったが、あまりの衝撃で
サハラマラソンについて調べているうちに、
登録していたジョギング愛好家のSNSにて
「ぼくらはサハラを超えていく」
という恐ろしい名前のコミュニティを発見してしまう。
「やべー、ゼッタイここのコミュニティに入る資格なんて無いけど、
ノリでコミュニティに参加ポチってみよう」
そして「40歳になるまでに(その時点であと5年間)、こんな大会を出てやるぜ!」と
得意の前のめりツィートをして、ひとまず宣言だけしてしまう。
後にそのコミュニティにいる人達と飲んだり、実際に砂漠を走るコトになるなんて、
もちろんこの時想像だにしていない。
そうして走り始めて6ヶ月、体重も10kg以上減った時、3回目のフルの日がやってきた。
が、あいにくの強風で午前5時に「大会中止」をツィッター上で知る。
ツィッター上では出走する予定のランナーはみんな大騒ぎ。
「レース用に今朝たくさんメシ食べちゃったから、今日は〚一人フルマラソン〛してくるっ!」
オレ「かっけー!オレもそれします!」
「フル走れなくて悔しいから、ノリで4カ月後の100kmマラソンをポチってやったぜっ!」
オレ「か、かっけー!!オ、オレもポチってみるっ!」
直後に、初の100kmマラソンとなる2010年7月の磐梯ウルトラ100kmマラソンをポチってしまい、
後戻りできないよう、ツィッターで「ノリで100kmポチった」コトを報告。
みんな驚きと応援。
ますます、後戻りできない。/(^o^)\
インターネッツってコワイ。
「100kmなんて、フルマラソン2.5回程も走るんだぜ?意味わかんねーじゃねーか」
「明日から練習ももっとハードルあげるぜ!」
そんな風に、ノリでポチっては、ツィッターで宣言し退路を塞ぎ、練習のレベルを上げていき、
故障とも何度も闘いながら、なんとか100kmも完走に至る。
そうすると、ツィッターでみんなから応援やお祝いコメントが集まる。
そして、感動してくれる人も出てくる。
ただ、チャレンジして、走るだけで、人に感動を与えられるコトができるなんて、
こんなに嬉しいコトは無い。
ランを始めて約1年半程前のある日、
その頃たまに開催していた、ツィッター上で告知して見かけた人達を集めて飲む
「「誰でもカムカム」飲み」をノリで開催。
そこに、獲物を狙うかのような目を輝かせながら、誰でもカムカム飲みに現れた一人の男と出会う。
飲み会に来てから、
ツィッターアカウントが @LS_jp(あだ名は「しゃな」)
というコトを知る。もちろん会うのは初めて。
初対面で会うなり
「小野さん、将来サハラマラソンに出たいってツィッターで言ってましたよね?
ボク、半年後の来年3月、アタカマ砂漠マラソンに出ますよ」
オレ「タ、タタカマ?タクラマカン??」
しゃな「アタカマです。チリの3000mの高地を250km走る大会です。
サハラマラソンがピクニックに思える位、もっと厳しい大会です」
オレ「/(^o^)\」
聞けば、
オレ以上に前のめり感のあるこの若者は、
オレと同じく1年ちょい前まで運動ゼロからジョギングを始め、
フルのタイムも同じくらいまで伸ばしてきている。
そして、
オレがぼんやり憧れていた
「サハラ砂漠マラソン」にも幾つかあるコトを、
この初対面の「しゃな」に教えてもらう。
どうやら、オレが見た写真は
「モロッコサハラ砂漠250kmマラソン」らしい。
そして、モロッコサハラマラソンとは別に
「エジプトサハラ砂漠250kmマラソン」もあるらしい。
しかも、エジプトの方は「4 Deserts(4つの砂漠)」という一連のシリーズになっており、
– 3月にチリのアタカマ砂漠
– 7月に中国のゴビ砂漠
– 10月にエジプトのサハラ砂漠
と、それぞれ7日間で250kmを走るらしい。
7日分の衣食などを10kg程背負って。
で、この3つの砂漠(これらは何の条件もなく、どれでも誰でもポチれる)のうち、2つを完走したら
4つ目の砂漠「The Last Desert(最後の砂漠)」である「南極マラソン」に参加する権利を貰えるらしい。
なんなんだ、この世界はww!!
オレが「人生の大ボス」と思っていたサハラ砂漠マラソンなんて、
たかが中ボスクラスじゃねーか!!
南極マラソンって何だよ!
すんげー大ボスが待ち受けてやがるじゃねーか!
これまで、他の人の「フル完走」や「100kmエントリーしたぜ!」という話を聞いて直後に
「オレもチャレンジしてみたい!」とソッコーでノリでポチってきた。
でも、今回はちょっと違うぜ??
5年以内に倒そうとしてたボス相手だぜ?
砂漠を10kg背負って250kmだぜ??
死ぬかも、しれないんだぜ???
4Desertsのサイトを調べてみると、
4年後の大会まで、
アタカマもゴビもサハラも、
今すぐネットでポチれる衝撃の事実を知る。
インターネッツ君、コワイよ(´;ω;`)
しかも、南極は2年に一度しか開催されず、2年後がちょうど開催年になっている。
「っつーことは、仮に来年、アタカマ、ゴビ、サハラのうち、仮に2つクリアできたら、
再来年の南極のチケットをゲットできるって事か?」
5日間だけ、考えた。
ボクは負けず嫌いです。
「よし、やるなら、思いっきり前のめりでやってやろうじゃねーか」
「さすがに来年3月のアタカマは近すぎる。そして、10月のサハラは「人生の大ボスと思っていた相手だけに外せない。」
「よし、来年7月のゴビと、10月のサハラを一気に2つポチって、再来年の南極チケットもゲットしてやるぜ!!」
あとは、無心でクリッククリック。
・・・・・
ゴビ&サハラ、ポチりだん。
やってしまったぜ!
忘れずに、ツィッターでポチった事を報告して、ダメ押ししてやろーじゃねーか。
あとは、トレーニングあるのみだ。
まずは、約半年先のゴビ砂漠をやっつけてやるぜ!

初砂漠「ゴビ砂漠250kmマラソン」完走〜「砂漠会議前夜」

初めての砂漠マラソンとなるゴビ砂漠は、
スターチ地点に立つ前の段階から、
想像をはるかに超えた見たこともない景色と経験の連続だった。
レースは、スタートに立つまでの準備から始まっている。
レースに出るには、いくつもの必須装備がいる。
– 7日分の装備を背負うバックパック
– 寝袋
– コンパス
– 緊急時の防熱/防寒用のエマージェンシーブランケット
– 包帯
– 1日最低2000Kcalの食料(計14,000Kcal)
等々。
食料も、かさばらず、日持ちし、できるだけ軽く、砂漠でも食べられるモノを選ばなくてはならない。
これまでの人生で、食料のグラム対カロリーなど意識した事が一度たりともあっただろうか?w
過去に砂漠を走った事がある様々な先輩ランナーからアドバイスを受け
準備を進める。
7日分の装備約10kgを背負って走れるよう、
レースで使うバックパックに重りをいれて走るトレーニングもしていかねば。
この頃から、通勤はレースで使うリュックにPCやら2Lペットボトルに水を満たしたモノを入れて背負い
オフィスまで13kmランニングで通う習慣を始める。
ゴビに出発する前夜は、ツィッター上で僕を応援してくれている
たくさんの仲間たちが集まり壮行会も開いてもらった。
そこに集まったみんなは、一人ひとり、僕に向けての応援メッセージをiPodに録音してくれる。
僕はそのiPodを、ゴビで本当に苦しい時に聞こうと決め、大事に手にしゴビへと旅立った。
そんなふうに準備して望んだ初めてのゴビは、
「こんな世界を走ることができるんだ」
という素晴らしい景色の中、
山を、草原を、川を、そしてもちろん砂漠を、
7日間で250km歩いたり走ったり。
「4 Deserts(4つの砂漠)」のレースは、
ゴビもサハラもほぼ同じ形式のステージレース。
1~4日目は毎日40km程を走り、
5-6日目はオーバーナイト(夜通し)で8-90kmほどを走るロングステージ。
7日目は数キロ~10km程をゴールに向けて走る、ラストステージ。
緩めではあるが、各ステージ毎に制限時間があり、
全てのステージをクリアしないと、
完走メダルはもらえない。
初めてながら、たくさんのアドバイスに恵まれた僕は、
4日目まで順位を少しずつ上げる事ができ、
一時は10位近くまで調子を上げていく。
が、5-6日目のロングステージにて、足マメからの感染症で体調を崩した僕は
レース中3時間ほど倒れこんでしまい、真っ暗闇の砂漠の中ひとり何とか歩き通して、
最終19位という成績でゴビを終える。
(詳しくは、ゴビ完走記にて)
150名程の参加者で、初の砂漠で19位という成績は、
決して悪くない所か、そこそこ頑張れた結果だったのだとは思う。
が、最後の最後で倒れて力を出しきれずに終わった事が、悔しくてならなかった。
それでも、レース中、非常に沢山の方が僕を応援してくれる。
こんなに嬉しく幸せな事は無い。
そして何より、
僕がレースで走る姿を見て感動し
「自分もランを始めてみる」
「生まれてはじめてフルマラソンにエントリーしてみる」
と、新たなチャレンジが生まれるていく事。
僕が、ランにチャレンジした事で得た、「ありえなかった経験や感動」を
他のみんなにも共有できる事ほど、嬉しいことはない。
気づけば、ラン以外でも、仕事や、様々な面で
僕の周りに新たなチャレンジをしていく仲間がどんどん増えていく。
ランを初めて良かった。
ゴビ砂漠にチャレンジして、良かった。
そして、それを、ツィッターやブログで共有して、良かった。
次は、10月のサハラだ。
サハラには、僕が砂漠ランナーになるのを前倒しさせた、しゃなもエントリーしている。
しゃなとはフルのタイムも近く、良きライバル関係。
お互い最高のゴールに立てるよう、トレーニングもがんばろう!

砂漠会議

ゴビ砂漠を完走し、帰国語間もないある日、
僕と同じタイミングで初トライアスロンにチャレンジした、
佐々木の信ちゃんが「小野さん、今夜「砂漠会議」ってのがあるんだけど」
と声をかけてくれる。
「砂漠会議??」
なんだかよく分からないけど、面白そうなので行ってみよう。
砂漠会議に行ってみると、信ちゃんと、彼がトライアスロンのレースで知り合ったウッチーと、
良く飲み会でも会い、僕のゴビ壮行会でも来てくれていた
黒沢(黒ちゃん)らが集まり
「ちょっと、砂漠マラソンに興味あるけど、どうしよっか」
的な会議をする、飲み会とな。
そこにいる全員が「砂漠マラソンにちょっとチャレンジしてみたい」のは明白じゃんw。
こりゃー、オレもそうだったように、飲んだ勢いで、ノリでその場でポチってもらおうじゃないか。
って事で、ゴビのチャレンジの経験を語り、その場でPCを出し、4deserts.comのサイトを開き
「今、この瞬間、3カ月後のサハラマラソン、ポチれるぜ??」
砂漠マラソンに出る以上、最低1週間は仕事ができなくなる。
仕事仲間はもちろん、家族にも相談がいる。
参加費や渡航費、装備品などお金の用意もいる。
いろいろ考える程、ハードルが高すぎる。
だからこそ、ノリでポチってしまわないと、中々チャレンジできるものではない。
「まずポチってから、考えればいーじゃん。エントリー費の支払いも後だし、ダメになったら、辞退すればいいんだし」
そして、信ちゃん、黒ちゃんが、ノリで「ポチり」
「やべー!ポチっちまった!」
そして、ウッチーも「仕事どうなるかなー?」と悩みつつも、ポチり。
「ポチったら、すぐツィッターで報告して、さらに外堀埋めようぜ!」
僕も酔った調子に乗って煽ってしまう。
そして、ツィッター上で「砂漠会議で、サハラエントリーをポチった!」という報告を見た
村岡ミッチーが、ふらりと砂漠会議の会場(飲み屋)に現れ、
またまたポチり。
ミッチー「やべー、今日から節約生活で金ためねーと!」
僕がそうだったように、、何の準備は無くとも、まず「ポチり」から始まった。
そして、そんな「砂漠をノリでエントリーするアホ達」のつぶやきをツィッター上で見ていた、
ボクの予備校時代からの仲間、山本リョータ(通称チベ)
が、酔った勢いで「来年のサハラ砂漠をエントリー」したとな。
「今年は、さすがに急すぎるから、来年」
とな。
「来年本気でチャレンジする意思があるなら、今年チャレンジだってできるハズだぜ?」
と煽り、結局、チベも今年のエントリーに変更。
チャレンジは、伝染する。
結局、その後、ウッチーは残念ながら仕事の都合でサハラに参加できなかったのだが、
共にサハラのスタートに立つことになった4名の当時のステータス
■信ちゃん
フルマラソンは4ヶ月前に一度だけ完走。
半年前に初トライアスロンに共にチャレンジするも、ゴール直前で脱水症状でリタイアの脱水前科者。
■黒ちゃん
フルもハーフも未経験。スキーの経験はあるが、ランの経験ほぼゼロ。自称「茶帯人生」で常に「今一歩チャレンジ目標に届かない」過去の持ち主。
■ミッチー
ハーフは半年前に一度だけ。フルマラソンももちろん未経験。
■チベ
ダンサーなので足腰はあるが、ハーフは半年前に一度だけ。
この時点で、サハラマラソンまであと3ヶ月ほどしか無い。
僕がゴビにチャレンジした時より、はるかに準備期間が短い。
(ちょっと、悪ノリだったんじゃないだろうか。万が一、命に関わる危険だって無いわけじゃないし・・)
一瞬、そんな不安もココロをよぎる。
が、そんなみんなも、砂漠のエントリーをポチった瞬間から
顔つきも会話もガラっと変わっている。
みんな、他人の事でも、仮定の事でもなく、自分が決めた自分の未来として、砂漠を語っている。
不安はすぐに、むしろワクワクに変わっていく。
(こりゃ、みんな、すごいチャレンジになりそうだ!)
そうして、それぞれの凄まじい練習の追い上げが始まる。
黒ちゃん「チベ、山の手線一周(約40km)マラソンしよーぜ」
チベ「おー、やるやる」
オレ「オレ、今週末に奥多摩100kmマラソン出るけど」
信ちゃん「おー、オレもそれ出たいな。今からエントリーなんとかならんかな」
黒ちゃん「小野チンの富士登山競走の応援がてら、オレ富士山ふもとから走って登り降りしてくる。荷物背負って」
みんなの会話の内容が、どんどんオカシナ方向になっていくw
そうして、
2度目の砂漠レースに立つ、僕としゃな、
3ヶ月前という短い期間で砂漠レースに立つことを選択した
信ちゃん、黒ちゃん、ミッチー、チベ
その他計14名の日本人選手が、サハラ砂漠マラソンへと旅立った。

サハラ砂漠レース前夜

ついに、エジプトにやって来た!!
$Keep Challenging
僕らは、明日から250kmのサハラを超えて、
このピラミッドのふもとにあるゴールに、7日後、帰ってくるのだ。
どんな7日間になるのやら!
レース前日は、レースに参加する為の最終関門、
必要装備品のチェックを全員が受けなくてはならない。
$Keep Challenging
装備品チェックを受ける信ちゃん
細かいツッコミを受けながらも、全員無事、荷物チェックは通過。
いよいよ、明日からのスタート地点である、キャンプ地へ。
カイロにあるホテルから、バスで3時間程の道のり。
途中の「おトイレ休憩」
雄大なおトイレでございw。
$Keep Challenging
そして、スタート地点があるキャンプ地へ!
$Keep Challenging
明日、このスタートから、7日間250kmの旅路が始まる。
キャンプ地で、イタリア4名チームのメンバーと2ショット。
彼のお腹に刻まれた入れ墨は、
マラトンの戦いで勝利を伝える為42kmを走った世界最初のマラソンランナーだそうな。
体も足の長さも、めっさ速そうなんですが。。。(;´Д`)
$Keep Challenging
この後7日間、このイタリア4名チーム(イタリアンカルテットと勝手に呼んでた)とは
毎日コース上で顔を合わすコトになるとは、まだ知らない。。
さぁ、ようやく、憧れだったサハラレースのスタート地点に立つことができる。
おもいっきり、楽しい7日間にしてやるぜ!!

いよいよスタート!Stage1

ついに、この時がやって来た!!
サハラ砂漠250kmマラソンのスタートの朝。
実は、昨夜は5回もトイレに起きてしまって、
あんまり眠れてない。
もともと、どこでも何時でも寝るのは得意なんだけど、
なぜかゴビの時も毎日睡眠不足に悩まされた。
サハラでも、また眠れない日々に悩まされるのだろうか?
が、夜中に見た星空たるや、ハンパなかった。
なにせ、薄暗いレベルの時から、クッキリと天の川が見えるレベル。
あんな星空は、生まれてかつて見たこともなかった。
睡眠不足とはいえ、スタート初日の朝はテンションが高い。
日本人選手の一人、慶応学生の喜納ちゃんと2ショット。
$Keep Challenging
元応援団長の彼は、応援団の学ランを持ってきて、毎朝僕らにエールを送ってくれましたw
プロレスラーの三州さんはスパイダーマンのコスプレでスタート地点へ
$Keep Challenging
そうして、いよいよスタート
$Keep Challenging
初日のStage 1は全長37.4kmの道のり。
実は、このサハラに来る1ヶ月前、飲み会ではしゃぎ過ぎて
左の肋骨にヒビを入れてしまっていた。
1ヶ月たったので、ほぼ完治していたけど、
胸に装着している飲料水用のボトルが走るたびに肋骨に当たるのが響くw
「40km走ると、4万回ほど、このボトルがオレの肋骨にジャブを打つ事になるぜ。
ポッキリいっちまうんジャマイカ??/(^o^)\」
そんな不安もあったため、序盤はゆったりスタート。
$Keep Challenging
スゴイ!
今自分は、こんな景色の中を、走っているのだ。
$Keep Challenging
うれしさのあまり、走りながら何度も自分撮り。
$Keep Challenging
そんな自分撮りのアホな姿を、
後ろにいたしゃなから盗撮されていたのも知らず。。
$Keep Challenging
僕の目の前を走っているのは、イタリア4名チーム、イタリアンカルテット。
全員が、オレのへそ位の位置までの長い足を持ち、みんないかにも速そう。
初日なので、僕も極力ゆったりはしっていた積りだったけど、
いつのまにイタリアンカルテットも抜きさっていた。
初日の気温は43℃くらいまでだった様子。
$Keep Challenging
乾燥しているのと、風が出るので、ゴビに比べたら
何とか耐えられる暑さ。
肋骨も気になるし、初日なんだし、と
抑えめにいった積りが、ほぼ歩かなかったのもあり、
ゴールしてみると全体で8番目のゴール。
前回のゴビでは、一瞬10位近くまで上りつつ、5日目の大ブレーキで
最終19位に終わった悔しさもあったので、
今回は密かに「上位10%(15位)には入りたい!」と狙っていた。
「でも、や、ヤバいよ((((;゚Д゚))))。初日からこんな順位でちゃったら、
イヤでも意識しちゃうじゃねーか」
「初日なんだ。まだ6日間ある。
他の選手も、たまたま今日は抑えていただけ。マグレマグレ。」
ちょっと嬉しいけど、そう落ち着かせつつ、他の仲間のゴールを待つ。
なにせ、ほとんどの仲間は初めての砂漠。
初日から、何が起こるか分からない。ゴールまではずっと安心できない。
ストレッチしながら、日陰で休みつつ、選手たちの帰りをゴールで待ち受ける。
そして、
黒ちゃんゴール!
$Keep Challenging
渡辺さん夫妻もゴール!
$Keep Challenging
信ちゃんと関西にすむイギリス人Markもゴール!
$Keep Challenging
プロレスラー三州さんもゴール!
ゴールではやっぱりスパイダーマンコスプレ!
$Keep Challenging
応援団長の喜納ちゃんもゴール!
$Keep Challenging
ぞくぞくと仲間たちが帰ってくるのを
待ち受ける瞬間ほど嬉しいものはない。
こうして、日本人14名全員ゴール。
今日は、制限時間の6pmまでに、全選手が無事ゴールに帰ってきた。
嬉しいニュース。
そうして、今日もキャンプ地は
素晴らしい夕暮れと星空に囲まれていく
$Keep Challenging
今夜はちゃんと寝れるといいな。

Stage2 Desert Door

スタート前夜、きっちり1時間毎、計5回もトイレに目覚めてしまった僕は、
ステージ1を終えた昨夜は、きっちり1.5時間毎に3回目覚め、
しかも1回もトイレに行かなかった(`・ω・´)キリッ。
「スゲー、オレ。砂漠で着実に成長してるぜっ!」
ステージ2のコースは41.6km、ステージ名は「Desert Door(砂漠への扉)」
その名の通り、「これぞ砂漠!」という素晴らしいコース。
$Keep Challenging
朝から容赦なく太陽が降り注ぐ
$Keep Challenging
はるか先の砂丘を、選手たちが駆け登っていく
$Keep Challenging
わかりにくいですが、砂丘のてっぺんより。
$Keep Challenging
見渡すかぎり、こんな景色ばかりを駆け抜ける。
気づけば、目の前の足あとが見る見る減っていく。。
$Keep Challenging
「足あと、1,2,3,4,5・・・5つ?? オレ、今6番目なのか??(((;゚Д゚)))」
ゴールにつくと、やはり本日6番目のゴール。
決して飛ばした積りもなく、
むしろ抑えた積りだったけど、やっぱり気持よくて走ってしまったのだろう。
「ヤバい。こんなに序盤調子いいと、後半足がなくなるんじゃないか?」
事実、少しだけ、筋肉痛がでてきそうな予感。
そうして、今日もみんなの帰りをゴールで太鼓を叩きながら応援。
$Keep Challenging
自分がゴールに近づいた時も、この太鼓の音が何より嬉しい。
初日に比べ、太鼓の叩き方も、すこしマシになって来たw。
「やべー、太鼓のスキルも成長しているぜっ(`・ω・´)」
今日のコースは、昨日よりも距離が増し、砂丘も多い。
制限時間も、昨日より1時間遅い7pm。
$Keep Challenging
5pmを過ぎると、もう夕暮れになっていく。
そんな中、選手たちは必死にゴールへ戻ってくる。
今日は日本人選手も比較的帰りが遅め。
みんな、なれない砂漠で、暑さや、荷物や、砂丘や、
体調不良や、様々なハードルと闘っている。
それでも、日本人は14名、全員ゴール。
明日はステージ3、42.6km。
ロングステージのステージ5を前に、一番長い距離&一番ハードなコース。
後半に足を残すためにも、明日は順位は意識せず、
積極的に歩いて足を休ませよう。

Stage3 Sea of Sand

ステージ2が終わった昨夜、
遂に、夜中2度しか起きなかった。
スタート前夜は5回、初日夜は3回、
そして、2日目の夜は2回。
「着実に成長しているぜっ(`・ω・´)ゞ」
そして、この朝、昨日まで僕を悩ませていた
「ヒビから完治しつつある肋骨に、毎日数万回もアタックをかけるウォーターボトル問題」
を劇的に解決する画期的な発明を思いつく。
その名も「砂漠のスーパー安全ピン作戦」
ボトルホルダーを安全ピンでリュックの上の方に少し引き上げて留めるのだ。
すると、どうだろう。
ビックリする位、ボトルが当たらない。
「スゲーぜ、画期的な発明だぜっ!」
事実この作戦は他の何名かの選手にも流行したのであったw。
一方、体はといえば、やはり太ももに多少筋肉痛が。
そりゃ、2日間、40km程を、6-8kg程の荷物や水を背負って
砂漠を走ったんだ。
体調に変化がでない方がおかしい。
そして、3日目の朝、昨日遅めにゴールし体調が悪そうだった
日本人選手の一人、阿部さんが「今日はスタートを取りやめる」ことに。
阿部さんは、エジプトサハラよりも過酷と言われる
「モロッコサハラ250kmマラソン」完走者で、しかも
裸足シューズで踏破した経験者。
聞けば、体調が優れなかった上に、必須装備の塩分が体に合わず
このままスタートすれば脱水の危険もあるとのこと。
過酷な環境の中、みんな、ちょっとしたギリギリのバランスの上で
レースを闘っているのだ。
そうして、3日、ステージ3が始まった。
今日は42.6km。
ステージ名も「Sea of Sand(砂の海)」の名の通り、
ひたすらに、砂丘や砂地を行く難コース。
「今日は、足を休める為に、積極的に歩こう」
「もちろん、走れる箇所を除いてはだけど。。。(;´∀`)ムリシチャダメダヨ」
$Keep Challenging
焦らず、砂丘はしっかり歩いて、後ろからスタート。
スタートしてしばらくして、少し胸が気持ち悪いコトに気づく。
前回のゴビ砂漠では、感染症で倒れた時でも美味しくゴハンは食べられた
強い胃腸を持っているつもりだったので、少しショック。
暑さで胃腸が弱っているのだろうか?
文字通り「積極的に歩き」(すぎ)つつ、気持ち悪さを騙し騙し前半を終える。
$Keep Challenging
途中、他の選手と写真も撮り合い、あえて余裕を作ったり。
後半になると、胸の気持ち悪さも治まってくる。
$Keep Challenging
それにしても、スゴイ景色の連続。
そして、「前半の歩きすぎを少しだけ取り戻そう」と、後半は多少走る機会も増やす。
胸の気持ち悪さも、歩くより、走っている方が気分が良い。
そうして、ついつい走っていく。
いつもは、中盤で抜かすイタリアンカルテット(4名チーム)だが、
今日は「ヤツらは抜かない(`・ω・´)」と決めた積りだった。
けど、背中が見えてくると、ついつい走って抜きたくなる・・
(;´∀`)ダメダッテバー
結局、ゴールすると、この日は8位。
かなり歩いた割には悪くない。足もだいぶ休めたし。
今日は、他の日本人選手の帰りも早め。
不思議なコトに、3日目で約120kmも走ってきているのに、
みんな日々強くなっていく。
「昨日よりも余裕を感じた」と、顔つきも精悍になっていく。
疲れは蓄積していくはずだが、
過酷な環境の中、日々様々なハードルや自分の弱みと闘い、
日々ゴールをくぐるなかで、みんな精神が鍛えられていくのだろう。
そんなみんなに勇気づけられて、僕もゲンキをもらう。
いよいよ明日は、4日目。
5日目のロングステージ(夜通し約90km)が、実質最終日なので、
明日をこなせば、あとは5日-6日目を歩き通しでも完走は見える。
今日、足を休めた分、明日は走るぜっ!!

Stage4 Castle in the Sand

いよいよ4日目の朝。
今日をクリアすれば、実質5~6日目のロングステージを残すのみ。
ロングステージは距離が長いが、2日間の夜通しなので、
歩きメインでもなんとか完走は出来る。
つまり、今日完走できるかが、実質「サハラ完走」の勝負。
みんなの顔つきも、いつもより違ってきている。
ステージ4は40.4km。
難易度も普通のコース。
今日は、一歩も歩かずにゴールしてやろう!
しかしスタートして、すぐに、昨日感じたのと同じ
胃の気持ち悪さを感じてくる。
昨日のゴール後、「なぜ気持ち悪くなったのだろう?」と
反省してみて、実に明快な解決策を見つけたハズだった。
「そうだ、昨日は、朝カレー食べちゃったんだ!ただでさえ胃が弱っているのに、
朝にカレー食べちゃダメだよね/(^o^)\」
そう、今朝はカレーではなく胃に優しそうな炊込みおこわを食べたハズだった。
なのに、走りはじめっから、しかも、昨日より気持ちが悪い。
でも、止まらない。今日は走り通すと決めたんだ。
途中、何度か、軽い吐き気。
「ちょっち、ヤバいぜ」
戻しそうになっても、ガマンして飲み込む。
ただでさえ、食事はギリギリなんだ。
吐いたら、走れる分だけのエネルギーを失ってしまう。
「吐いちゃダメだ、吐いちゃダメだ」
そうだ、オレには「ガスター10」という強い味方があったじゃないか!
あわてて、走りながら、
ガスター10をグビり。
そうやって吐き気と闘い、あまりペースも上がらず、ガマンして3時間ほど走ってたら、
ガスター10効果も相まってか、徐々に気分も戻っていく。
そして、相変わらず、景色は素晴らしい
$Keep Challenging
よし、これで心置きなく走れるぜ!
いつも中盤で追い抜かすイタリアンカルテットの背中を、後半ようやく発見。
$Keep Challenging
踏ん張って走っていると、はるか前方にポツンと人が見えてくる。
イタリアンカルテットを抜き去る時は、みんなと笑顔で「チャオ!」と挨拶。
リーダーのPaoloは、2009年サハラ優勝者の強者。
一人なら楽勝でもっと走れるだろうが、彼は3名の他メンバーとチームなので、
3名をサポートしながら走っている。
カッコヨすぎるぜ!
そんなイタリアンカルテットには、
イタリアのメディアチームが常に車で追いかけ撮影している。
毎日のように、イタリアンカルテットと絡む僕も、
自然毎日イタリアメディア班の車に撮影される機会が増えて、
お互い顔も馴染んでくる。
今日は、メディア班の車が、やたらにオレと並走をしたがり、
ずっとカメラをコチラに回し続ける。
「チャオ!」とカメラに挨拶すると、スタッフの一人が
とてもうれしそうに、ジェスチャーで(カメラを回しているので声を出さずに)
オレに「もっとしゃべれ!」と合図をしてくる。
オイオイ、こちとら、砂漠で走ってるんだぜ。
「何かもっとしゃべれ」言われても、英語で考えるのもメンドいのに、
さらに走りながらしゃべれとかww
「I’m so happy to run with such a great view, Thanks!(こんなスゲー景色の中はしれて、サイコーだぜ!ありがとー!)」と何とか話すも
「もっとしゃべってくれ」とニコニコジェスチャー。
もうボク疲れたよパトラッシュ(;´Д`)
でも、オレ、すげーイタリアのメディアでは目立ってるのかも。
やべー。イタリアのべっぴんさんがファンになったら、どーしよー。
と、一人(・∀・)ニヤニヤしながら走り続け、そのままゴールへ。
この日は、7位でゴール。
前に、同じく日本人選手で、僕の砂漠チャレンジを前倒しさせた
しゃなも6位でゴールしている。
最後、追いつきたかったが、ヤツも速い。5分差まで迫ったが、全然追いつけない。
でも、なにより嬉しかったのは、
前半の吐き気がありながらも、どんな砂丘でも
一歩も歩かず、走り通したコト。
明日への自信に繋がる、いいランにできた。
そして、この日は、ラン歴半年の黒ちゃんが12位でゴールしてくる。
$Keep Challenging
ラン歴半年ながら、日々追い上げてくる黒ちゃん。
信ちゃんも22位でゴール。
みんな、どんどん調子を上げてきている。スゲーぜ!!
$Keep Challenging
ゴール後、日陰で他の選手達を待ちながら、
足のお掃除の休息。 with 黒ちゃん、信ちゃん
この日も、無事日本人選手13名はしっかりゴール。
みんな、昨日よりも確実にタフになっている。
そんなみんなの姿が何より勇気になる。
明日、這ってでもゴールできれば、13名が完走メダルを手にできるんだ!
サハラレースも4日目が過ぎ、
残すは、明日5-6日目のロングステージと、最終7日目の2km弱のピラミッドラン。
7日目はタイムは関係ないので、明日のロングステージで全ての順位が確定する。
これまで、毎日10位以内にゴールしてきた僕は、
「あくまで、完走して南極へのチケットを手にする。順位はこだわらない」と
言ってきたものの、本音では自然と
「10位以内で完走」が目標になっていた。
そして、できれば「日本人で1位」も取りたいと思っていた。
それまで、毎日、その日のゴール順位はわかるが、総合のタイムはあまり見ないようにしてきた。
そんな僕を捕まえて、
大会CEO & みんなのエンジェルのAlinaが、カワユイ笑顔で手招きする。
「ヒロ、いま、あなたは総合6位よ。そして、しゃなが約30分差で迫ってきてるわよ」
と教えてくれちゃう/(^o^)\
総合ろ、6位って。。
しかも、30分差でしゃなが迫ってきているって。。
明日は86.4kmのロングステージ。
1-2時間の差だって、簡単にひっくり返りうる。
しかも、オレはゴビ砂漠で、4日目まで好調で5日目のロングステージで
倒れて大ブレーキの経験もある。
「あくまで、自分との闘い。他の選手のことは考えず、自分のベストを出しきる」
と言い聞かせるも、まだまだ弱い自分は
「できれば、順位も維持したい。たぶん、日本でみんな、驚きと期待で応援してくれているに違いない」
と意識をしてしまう。
泣いても笑っても、明日が、実質最後なんだ。
86.4km、自分を全部出しきろう。

Stage5 再び訪れる悪夢、そして。。

いよいよ、今日は、実質最終のロングステージ。
これまで4日間、いろいろなコトがありながら、
みんな、毎日40km程サハラを超えてきた。
そして、今日~明日とオーバーナイトで
86.4kmの道のりを進むコトになる。
これをクリアすれば、後は明後日、
ピラミッドのふもとのゴールまで2km弱のファンラン。
今日が、実質最後なのだ。
テントにて、しっかりとシューズを締める
$Keep Challenging
(RacingThePlanet Official Photoより)
スタートに集まるみんなの顔つきも、心なしか緊張感がある
$Keep Challenging
そうして、ロングステージがスタート。
今日のコース上には、約10kmおきに、8つのチェックポイント(CP)がある。
各CPで水を貰えるが、約50km地点のCP5では
お湯も出て、行動食以外の食事も取ることが出来る。
まずはCP5まで6時間30の目標で、歩かずに走り続けよう。
調子が良ければ、そのまま最後まで、19時(計12時間)にはゴールしよう。
そう目標を決めて走りだす。
走り始めてすぐに気がついたのは、
「今日は、いつもと風景が違う」こと。
いつもは、あまり見かけない選手が、上位の方に来ているのだ。
僕のテントメイトのAnthony
$Keep Challenging
彼は日々、10位~15位でゴールしてたのだが、この日はずっと最後まで追いつけない所か、
僕よりはるか先に行ってしまった。
一歩も歩かない、とても強いランナーだ。
そう、みんな「今日がラスト。勝負のステージ」と計算し
ここまで足を残してきているのだ。
CP2までは僕も順調に足を運ぶ。
昨日まであった気持ち悪さもなく、足もしっかり残っており、
2年前に憧れでしかなく、想像だに出来なかった
「いま、自分は、この大サハラ砂漠を走っているんだ」
という喜びと感謝で胸いっぱいに走る。
が、CP2-3間で、突如、昨日と同じ
気持ち悪さが生じてくる。
あわてて、伝家の宝刀「ガスター10」をゴクり。
「昨日だって、吐き気がありながらも、ガスター10で歩かずにゴールまで行けたんだ。大丈夫だ」
が、CP3が近づくにつれ、どんどん、気分が悪くなっていく。
「一度でも歩いたら、歩きグセが出る」
「ダメだ。ゼッタイ、歩いちゃ、ダメだ」
しかし、ほぼ吐きそうになった瞬間に、ついに歩いてしまう。
そして、強くなる吐き気を何とか抑えながら、徐々に歩くスピードすら落ちて行く。。。
そして、どんどん、今までに抜かれたコトのない選手たちに抜かれていく。
しゃなに抜かれていく。
$Keep Challenging
砂丘の稜線を超えていく、本来最高の景色のコース。
前にポツリと見える点は、先を行くしゃな。
そして、サハラレース中一度も抜かれたことのなかった黒ちゃんにも抜かれ。。
自分の足が止まってしまったショックと、
他の選手たちに抜かれていくショックと、
「ゴビのロングステージでもヘマして大ブレーキになったのに、今度もまたかよ!」
という悔しさで一杯になる。
全く走れないまま、歩き通しで、なんとかCP5へ。
CP5に着くなり座り込んでしまい、スタッフからも心配そうにされてしまう。
「もう、順位なんてどうでもいい。とにかく、しっかり食べなくちゃ」
予定ではナッツ等の行動食でゴールまで持たせる予定だったが、
ナッツが食べれない以上、唯一お湯がもらえるこのCPで、
アルファ米を食べていくしかない。
アルファ米をお湯で戻すには15分かかるが、そんな、タイムなんて気にしている場合じゃない。
むしろ、15分ゆっくり休ませる言い訳を創ろう(じゃないと、焦ってCPを出て、もっとヒドイことになりかねない)
CP5でゆっくり過ごすうちに、イタリアンカルテットはもちろん、
たくさんの選手達が、休みに来ては、次のCPへと旅立っていく。
「チベとか、信ちゃんとか、来てくれるまで待とうかな?」
「来たら、一緒に歩いてもらおうかな」
どんどん、気持ちが弱くなっていく。
なんとか、アルファ米を喉に流し込み、
諦めて立ち上がり、次のCPへ歩き出す。
が、せっかく15分待って作って食べたアルファ米も、
しばらく歩くうちに、少し戻してしまう。
「食えないと、走るどころか、歩けない・・・」
吐いてしまった不安とショックで、さらにココロが折れそうになる。。。
水を飲むのも気持ちわるいけど、飲まなきゃ、死んじゃう。。。
「なんで、ゴビに続いて、最後に失敗するんだ」
「これまで、せっかくいい順位で、日本にいるみんなも、喜んでくれていたのに・・・」
「もう、帰国したら、オレ、ランニング、やめようか。。。。」
肋骨にヒビが入っても、翌週フルマラソンで自己ベストを更新したこともあり
「骨は折れても、ココロはオレない(`・ω・´)」なんて言っていた頃もあったっけ。
もう、ほぼ、完全にココロが折れる。。。。
CP2の途中からCP6まで、6時間ほど、そんな闘いが続く。
そうして歩き続けるうちに、少しずつ、体調が戻ってきた!
だまし、だまし、少し走ってみる。
「うん、いけそうだ!!」
「もう失ったタイムを取り戻すには余りに遅いけど、やれるだけ、やってみようじゃないか!」
そうして、CP6を過ぎてから、爆走を開始。
ひったすら、走る。駆ける。
このレース中、最も速いペースで、走る。
「これまでの悔しさを、全部ぶっつけて走ってやるんだ!!」
もう、二度と歩かないように、これまでとっておいてiPodを取り出す。
このiPodには、お気に入りの曲がいくつかと、最後に、ゴビの壮行会の時に
みんながオレにくれたメッセージが録音されている。
ゴビのロングステージで倒れた時も、このみんなからのメッセージを聞いて頑張る積りだったけど
なんとiPodの録音ミスで、この大事なメッセージをゴビでは聞けずじまいで、ここまで来た。
「そのまま聞かずに、サハラで困った時に、みんなからの声を聞いて勇気をもらおう」
そうして、大事にとっておいたものだ。
ゼッタイに、歩かない。
次の曲が終わるまで、歩かない。
終わったら、その次の曲が終わるまで、歩かない。
ハイペースで飛ばすと、苦しい。
常に、歩きたくなる。
でも、さんざん、歩いたんだ。今は、走れるんだ。
今、走らずに、いつ、走るんだ!
「みんなからのメッセージが流れるまでは、ゼッタイに爆走し続けてやる!!」
CP6からCP8まで、ひたすら飛ばし、
今まで抜かれ続けた選手を次々に15名ほど、抜かしていく。
これまで4日間毎日、僕が抜かす一方だったイタリアンカルテットの面々も、
CP5で初めて彼らが僕を抜かす時、心配そうに声をかけてくれてたのだが、
爆走して彼らを追いかける僕を見てリーダーのPaoloが満面の笑で
「チャオ!」とハイタッチしてくれる。
嬉しい。泣きそう。でも、泣かない。走るんだ。
$Keep Challenging
イタリアンカルテットの4名は、常に一番苦しんでる選手の手を引いたり
助けあいながら、とても強い走りを最後まで続けた。
爆走しながら次から次へと曲が流れ、iPodは
ついにゴビ壮行会の時の、みんなから録音されたメッセージへたどり着く。
3ヶ月前、僕が初めての砂漠レースのゴビ砂漠に旅立つ時の応援メッセージが、
一人ひとり、流れていく。
涙が、止まらなくなる。
たくさんの仲間からの、たくさんの想いがつまったメッセージ。
「小野チン、頑張っているか?辛いか?でも、みんな日本で楽しみに待っているぞ!」
「小野ちゃんのことだから、爆走して入賞とか狙っちゃえよ!!」
既に陽は落ち、真っ暗闇に包まれた砂漠の中、
ひとり、号泣しながら、爆走し続ける。
「こんなにも、みんなの想いに支えられて、オレは走れているんだ」
そんな嬉しさと、
「こんなに、期待をしてもらっているのに、自分はなんて情けない姿をしていたんだ」
そんな悔しさと。
「でも、真っ暗な砂漠の中、号泣しながら爆走するなんて、アホすぎるぜ」
今度は、泣きながら(・∀・)ニヤニヤしながら爆走。
誰か人が見ていたら、ゼッタイ、ヘンタイと思われただろうな・・・
最後のチェックポイント、CP8を過ぎ、あとゴールまでは10km程!
最後まで爆走を続けてゴールしてやるぜ!!
途中、かなり前に抜かれた黒ちゃんと、同じく日本人選手の中村さんが
暗闇の中歩いているのを見つける。
一瞬「このまま3人でゴールしようかな?」と迷うけど
「ゴメン!最後まで走っていいかな?」と断り、ゴールへ駆ける。
「かなり、タイムも取り戻せたかも。ひょっとして、まだ10位以内も夢じゃないのかも」
「またゴビの時みたいに、ロングステージでヘバったまま終わるんじゃなく、
今度は、最後カッコ良く復活爆走でゴールしてやるぜ!」
しかーーーし!
神様は、そんなにカッコ良く終わらせてはくれない。
ゴールまで、あと7km程になったあたりで、
急に体から力が抜けていく。
気づけば、お腹がペコペコ。
時間はもう19時過ぎ。昼も少し吐いたし、全然エネルギーをとれてないじゃんか。
食べたら、また気持ち悪くなるトラウマがあり
食事をするのが怖かったが、まだ40分程走らなければ。
残していた行動食のナッツを食べてみる。
「やっぱ、気持ち悪い・・」
またもや、悪夢の再開。
またしても、歩いてしまう。。。
悔しい! ちくしょう!!!
最後は、ハンガーノック気味でフラフラになりながらゴールへ。
昨日までの4日間は、ゴールはアホな格好で決めていたのだが、
この日はゴールするなり倒れこんでしまう。
$Keep Challenging
すぐにAlinaらスタッフに担がれ、メディカルテントへ。
しばらく、手足の震えが止まらない。
ドクターに薬をもらい1時間程横になり、先にゴールしていたしゃなに
コーンスープを作ってもらう。
(そういや、ゴビでゴールで倒れこんだ樺澤さんに、コーンスープ作って、ゲンキになっていたっけ)
ぼんやり、そんなことを思い出しながら。
しばらくテントで休んでから、徐々に体にゲンキが戻り(コーンスープすげーぜ!)
もう一杯コーンスープを飲み、他の選手たちの帰りを待ち受ける。
$Keep Challenging
僕は倒れていて出迎えられなかったけど
黒ちゃんと中村さんもゴール!
そして、信ちゃんもゴール!
信ちゃんと僕で出迎える。よく頑張った!!!
$Keep Challenging
仲間が戻って来るのを見届けるほど嬉しいことはない!
他のみんなの帰りも気になるものの、
僕自身もまだヘロヘロだったので
さすがにテントに戻り、泥のように眠りにつく。
そうして、僕のサハラステージ5は終わった。