【南極100kmマラソンへの道】その19「闘いを終えて」



ジュリアンとハグを交わした後は、
とにかくドクターの指示にしたがって、
「シャワーを浴びろ」とのこと。
「ほへ。シャワーなんて、あるの?(・・?」
なんと100kmの選手だけが、シャワーを浴びれるそうな。

ラッキー(・∀・)じゃん!
シャワーが浴びれる、スタッフ用の秘密の小部屋に連れて行ってもらう。
沸かしたお湯が入ったバケツに、雪を入れて適温にして
ホースを突っ込んでポンプで吸い上げて頭上からかけてくれる、
という仕組み。
なんならバスタオルまで用意してくれて、
わざわざ僕のテントから着替えまで持ってきてくれる始末。
まさに、いたれりつくせり。
「ココ、天国みたいじゃん(・∀・)!


完走してヨカタヽ(^o^)丿!」

シャワーを上がり着替えると、

なんと

めっちゃ温かいダウンジャケットをかけてくれて

さらに前のチャックまで閉めてくれる
なんなら、帽子だってかぶせてくれる。

「なんでもしてくれるのね。

なんなら、赤ちゃん状態じゃなっすか(・∀・)」

ココは、乗っかるだけ、乗っかってみようじゃあないか。

 

そこまでしてくれるドクターに、

「ビールとか、飲んじゃってもヨカですかね?

ココ3週間、禁酒してまして。。。(´・ω・`)」

 

「ダメヽ(`Д´)ノ!

まずは温かいモノを食べなきゃダメ。

飲み物も、温かいものを(`・ω・´)」

 

いままで、何度も100kmは走ってきたけど、
レース後はすぐにビールをグビって

ご飯も美味しく食べれてきた。

が、ドクターに用意してもらったご飯が、 

まったく口に入らない。

ぜんぜん、食欲が沸いてこないのだ。

こんなことは初めての経験だ。

飲み物は、まぁ、大丈夫っぽい。

仲間達が、こっそりビールも持ってきてくれる。


「このために頑張ったんだー( ;∀;)」

グビリ。

うまいっ(・∀・)!!!!

 

アレ?

 

でも、やっぱ、ちょっと胃腸がヘン?

まぁ、大丈夫っしょ(・∀・)!

グビグビ!

 

(゜д゜)ウマー!!

せっかくなので、札幌の実家から持ってきた

祝杯用のニッカウィスキーも飲まなければ。

わざわざ、専用コップまで持ってきているのだ。

原酒なので、アルコールが65度もある。

ちょろっとだけ、チビり。
テントメイトのナソスもチビり。
「ヒロ、これ、ガソリンじゃないよな?(;・∀・)」

そのうち、

どんどん、

胃腸の様子がおかしくなっていく


アレ(´д`)???

まだ不発弾が処理しきれてないのか??

ビールやウィスキーどころか、

普通の温かい飲み物すら、受け付けなくなっていく。

慌てておトイレに向かうと

完全に下してしいるばかりか、

ついには、口からもすべて戻してしまう。
そして、

胃腸がキリキリ痛み出す。

様々なレースを経験してきているが、

レース後、こんな経験は無い。


痛みは、ヒドくなる一方。

ついには、

お腹を抱えてうずくまり、

動けなくなってしまう。

テントメイトのナソスも心配して、

ドクターを呼んできてくれる。

ドクターに、

悶えながらも、ひと通り症状を説明。

ドクター「ご飯は食べれたの?」
オレ「(悶えながら)いや。。。ほとんど、、


食べれてなくって・・全部戻しちゃって。。
ドクター

「まさか、ビール、飲んでないよね??(`・ω・´)」

オレ「ぇ!?(;´Д`)

ぁ、ぃぁ、、

ほんの。。。

 

チョット(1本)だけ。。。」

 

ドクター

「(´・д・`)・・・。

 

ひとまず全部出してしまっているので、


あとはお腹を温めて寝てなさい(`・ω・´)。
ドクターが湯たんぽなどいろいろ用意してくれる。
ナソスに抱えられながら、

自分のテントに戻ろうと立ち上がる。。。

オレ

「((;一_一)) おっと!」

テーブルの上に

ウィスキー
出しっぱ


だったじゃないの(;・∀・)

コソーリ、ポケットにしまおうにも、

ドクターに全部みられてたがな/(^o^)\。

 

さっきまで100kmニンジャ姿で走っていたオトコが

テントまでの100mを

悶えつつ、肩を抱かれつつ、

なんとか進んでいく。

 

このまま、死んじゃうんじゃないか(´・д・`)

 

そのくらい、お腹もイタイし、カラダが重い。

 

レース中の食事といえば、

パワージェル(液体の補給食)や

カロリーメイトのような固形物だけ。

そんな食事だけで

100km走るエネルギー分

食べては消費して、さらにお腹も氷で冷して

を13時間も繰り返していたのだ。

しかも、今までにないレース展開。

胃腸が、ボロボロになっててもおかしくはない。

 

どうやら、激しく風邪も引いているようだ。

翌朝も、明らかに風邪の症状。

ほとんど、食事も摂れない。

すっかり、やつれましたがな/(^o^)\。

さすが南極。

いろんなコトが起きるもんだ。

 

(まぁ、ドクター無視して

ビール飲んだ自分が悪いんだけど(´・д・`)。。)
しかも、なんだか顔の下半分がヘンな感覚である。
北極マラソンの反省を生かして、


レース中、ちゃんとゴーグルはしていた。
が、顔の下半分は、呼吸がしやすいように

寒くてもさらけ出していた。

もしや凍傷になりかかっているのでは!?

なんてことはない。

もんのすごい、ゴーグル焼け\(^o^)/。

あきらかに、顔の上下で色が違うじゃないか。

顔下半分が、完全に被ばく状態でヒリヒリ/(^o^)\

北極での「ゴーグルはするべし!」の反省が
こんなカタチで帰ってくるとは。

恐るべし、南極。

後からレース中つけていたGPS腕時計の履歴を見て気づいたが

こんなトコロを走っていたのか。

改めて、すごいコトだ。

しかも、一面、真っ白でよく分かってなかったが、

10km周回ごとに

実に約390mも登っていたようだ。


10周100kmで、

計3,900mほども登り降りをしていたのだ。

(100km走る間に、富士山ふもとから頂上まで登って降りて、なカンジ)

普通の100kmマラソンでも、

そんな高低差なんて聞いたことがない。

タフだったワケだ!


(GPS腕時計の履歴はコチラ

 

 

そして、

いよいよ南極を旅立つ日がやってきた。

選手達と、連絡先を交換したり、写真を取り合ったり。
もちろん、

ジュリアンとも、がっちり肩を抱き合ってパシャリ。

フルで壮絶なトップ争いを繰り広げた
いつもストイックで笑顔をめったに見せないルイスも交えてパシャリ。
(左から、ルイス、筆者、ジュリアン)
そして、100kmの優勝者、南極キャンプ地の住人

マークも加え、ジュリアンと1~3位受賞者記念撮影。

(左から、筆者、マーク、ジュリアン)
マークの100kmのゴールタイムは、

12時間6分51秒。

実はマークは、過去何度か

南極マラソン、100kmマラソンを経験しているのだが、

今回のタイムは、大会新記録だそうな。

とんでもない速さだ。
せっかくページ増札したパスポートに

南極スタンプも忘れずにポチり。

「2018年May(5月)88日」はミススタンプですが。

そして再び、来た時と同じ飛行機で、プンタアレナスへ。

あっという間の、しかし、とてつもなく長い一時だった。
南極大陸という場所で、
世界でもっとも南端のマラソン大会を繰り広げたのだ。
そして、100kmを走りきった。
なにより、

あれだけ何度も、何時間にも渡り

抜きつ抜かれつを繰り返し、

散々に苦しみ抜きながらも、

最後まで、自分に負けず、

力を振り絞って前に進めたのだ。


こんな素晴らしい経験ができたことに、

あらゆる人たちに感謝のキモチで一杯になる。

プンタアレナスに着くと

ルイス、アンドリュー、そして他の仲間たちと

なぜか寿司バーで祝勝会をすることに。

日本のスシを囲んで、

スペイン語、フランス語、英語が飛び交う。

 

そんななか、

ボクは共に闘ったジュリアンと、アツく語り合う。


彼はずっとスポーツ人生をへて、

いまは学校でスポーツの先生をしている。

「数学や物理ももちろん大事だけど、

スポーツは、生き方そのものを教えてくれる。

考え方そのものを、学ばせてくれると思う」

「ランニングは、自分の生徒たち(10-12歳)には

つまらないモノに思えているだろう。

けど、そこから、実に様々な経験を学ばせて貰える。

こういった、素晴らしい仲間にも出会え、

自分と向き合うことを経験させてくれる」

「そういったコトを、生徒たちに少しでも共有したいと考えて

ボクは今回もチャレンジをしたんだ。

順位は結果でしかないけど、

なによりも、自分と向き合うことこそが重要なのだと思う。」

奇しくも、ジュリアンは

ボクとまったく同じようなコトを考えていたのだ。

だからこそ、

お互い100kmを走りながら、

それぞれ自分と闘いながら、

抜かれたり抜いたりの一瞬だけで

お互いココロを交わし合った実感を持ったのだろう。


素晴らしい仲間と出会えた。

いつもは笑顔を見せないストイックタイプと思っていたルイスも

実はお茶目なヤツだとわかってくる。

なんと、ルイスもジュリアンも、

偶然にもボクと同じ38歳。


「縁(えにし、Destiny)だな」

お互いfacebookやメアドを交換。

話題の中心は、

もちろん、世界のヘンタイレース

について。

ウルトラトレイル・マウントフジの話を出したら
(UTMF。日本で今年初開催された、富士山の周りを山道ぐるりと約160km、
48時間以内に走り切るレース。ボクも参加し、100位ほどで完走した)

なんとルイスは

「あ、それ優勝した(別の)キリアン、ダチだぜ?(・∀・)」

ゴビ砂漠250kmの話もしたら

「今年優勝したヤツ、ダチだぞ(・∀・)」

スゲー世界に入り込んでしまったぜ(;・∀・)。

ところで、ジュリアンはスポーツは万能らしいが

箸の使い方が大のニガテらしい。

ルイスにからかわれまくっている。

オレ
「ジュリアン、

センセイのキミに、ボクが(箸の使い方の)センセイになってあげよう。

あんだけ、強い走りをできたんだぜ??

You can Do IT !! (`・∀・´)」
箸の使い方では、負けません(`・ω・´)。

他の選手達とも

「自分の祖国(の○○のレース)にぜひ来てくれ!

大歓迎だ!!全部アレンジしてやる!」

と、連絡先を交換しあう。

あれだけ激しいレース展開をしてたジュリアンをはじめ

世界中の、

こんな素晴らしい仲間と

同じ経験と時間を共有でき

友となれたことに

改めて感謝である。

南極ポチって、本当にヨカッタ(・∀・)!!!

つづく

【南極100kmマラソンへの道】その19「闘いを終えて」」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 【南極100kmマラソンへの道】その18「そして、旅は終わりへ向かう」 | Keep Challenging

  2. まろ

    小野さん、はじめまして。
    北極マラソンで検索していたら小野さんのブログに出会いました。そして一気に北極と南極のブログを読んじゃいました。涙涙です。私は45歳に東京マラソンが当たりそこから走り始めました。まだウルトラでの完走をしたこともないひよっこランナーですが、小野さんのブログから勇気をもらいました。今年こそウルトラ完走します。これからも世界のヘンタイレースに出てくださいね。楽しみにしています。

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