ジャングルマラソン「未」完走記10:ステージ4「大ブレーキ」


 

ステージ4は、ジャングルの奥地のキャンプ地がスタート。

このステージは42km。これまでで最長の距離。

そして、このステージをクリアすれば、

明日は108kmで夜通し走るステージ5。

ステージ4と5が、正念場だ。

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スタート前に、ピコハン片手にパチリ。
そうしていつものように、トップ集団の後方よりスタート。

 

が、スタート直後より、やたらに調子があがらない(´・д・`)。

 

食事も睡眠も、しっかりととれているし、

幸い脚の故障もそこまでの痛みではない。

 

なのに、何故なんだ。
まだ2-3kmも進んでないのに、やたらと苦しい。

 

ダメージが蓄積している左足首を思いっきり捻ってしまったところで

たまらず、歩きに変わってしまった。

 

頭もボンヤリとし、気持ち悪い。

とても、走るどころか、フラフラと歩き出す。

 

どうしたというのだ。

 

この日の最初のチェックポイントは13km地点。

まだ、10km近くも先だ。

しかも、それまでに1kmものあいだ川を進み、その後1km泥沼を進むコースが待ち構えている。

 

「チェックポイントまですら、辿り着けないのでは。。。」

 

あまりの急な体調不良に、不安が徐々に恐怖に変わりそうになる。

 

でも、過去にも経験がある。

歩くのもツラいほど調子が悪くなってしまい、フラフラになってしまっても

耐え続けて歩いていれば、そのうち調子が劇的に戻ってきくることもある。

 

「今回だって、大丈夫だ。やれるはずだ」

 

そうフラフラと歩くうちに、

普段はコース上で会うことのない後方の選手達にも次々と抜かれていき、

ついには、ほぼ最後尾グループの選手の顔さえ見えてくる。

 

ココロが、折れそうになる。

 

4位以下の選手にはまだかなり差をつけているとはいえ、

急速に追い上げてきているブラジル人選手Xには

今日で総合順位も確実に抜かれるだろう。

 

いや、そんなことはどうでもいい。

なんとか、チェックポイントまでたどり着かねば。

 

ほぼ最後尾に近いところまで順位を落としながらフラフラと歩くうちに

川を進む地点まで辿り着く。

 

選手たちが、川に半身つかり密林の奥へと進んでいく。

川底は泥や木まみれのようで、歩くのもままならないようだ。

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先に続くコースを見て、思わず、川の手前で完全に座り込んでしまう。

こんな難コースが1kmも続くのか。

いまの体調だと、この1kmを越えられるかすら自信が持てない。

 

ここで、レースを終えたほうがいいのではないか?

危ないんじゃないのか??

 

ふと、そんな考えが頭をよぎる。

でも、今までも数々のレースで、ピンチをくぐり抜けてきたじゃないか。

 

ゆうに30分近くは、何名かの選手をやり過ごしながら、

しばらく座り込んだまま、悩みつつ、カラダを休めた後、

ええい!!

とばかりに意を決して川に飛び込んでみた。

 

 

 

「あれ???

 

冷たくってキモチイじゃないの(;・∀・)」

 

 

ジャングルの奥地ほど、湿度が高く、不快指数も高い。

体調の不良は、暑さによる熱射病的なものだったのだろうか。

川にはいったことでカラダが冷えて、少しずつ気分がよくなってくる。

 

しかし、とんでも無いコースが用意されているものだ。

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川は濁っており、川底には大量の木が沈んでいる。

常に足場が見えず、川の中で何度も脚をぶつけ、木の間に挟まって捻ってしまう。

 

でも、徐々に体調が戻り、楽しさも増してくる(写真も増えるw)。

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そうして、川の中をひたすらさまよう1kmにコースの次は

泥沼1kmコース。

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ここも、ひたすらに足元が悪いw。

 

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こんな感じw

 

足元が突然深くなるトコロもあるので、トラップまみれ。

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それでも、体調が少しもどった事で、こうした難コースでも、超える楽しさが戻ってくる。

 

そして、泥沼コースを超えた後は、通常に近いランに戻ることができ

今までに抜かれた選手たちをぐんぐんゴボウ抜きして進んでいく。

 

「やっぱ、もうダメだと思っても、耐えていれば戻ってくるものなんだよな」

 

しかし、そんなに甘くはない。

2つ目のチェックポイントを越え、30km近くまで進んだ時点で

またもや、歩くのもやっとなほど、気持ちが悪くなってしまう。

30km地点にある3つ目のチェックポイントで、またもや座りこんでしまう。

 

そして、おトイレをした時に思わず「あっ」と声を上げた。

 

オシッコが、真っ赤なのだ。

 

脱水は一番の敵である。

脱水症状はオシッコの色が次第に濃くなるほどに危険である。

 

いままでの多くのレース経験を元に

ジャングルでも常に意識して水分・塩分補給をしてきた。

特にジャングルの方が、汗が乾かないので、砂漠より発汗量がわかりやすい。

 

十分に脱水対策はできていた積りだが。。。

 

しかも、脱水ならば、濃いオレンジになるはずのオシッコが

真っ赤に近いのだ。

今までにまったく体験の無い色。

 

「もしや、血尿。。。? 腎臓が、やられてる??」

 

ドクターに相談をすると

「とにかく、水を飲むこと。もし夜になっても改善しない場合は、もう一度相談に来るよう。」

そう指示をもらう。

 

ただでさえ、常にカラダはケガをして腫れたり、虫にさされたりの環境。

何かに感染して病気か? など、やはり不安になってしまう。

でも、できることは限られている。

ひたすらに水を飲み続け、しっかりと休憩をとり、立ち上がる。

 

ゴールまで、残るは約13km。

 

大丈夫だ。歩き続ければ、たどり着ける。

 

そうして、一晩たてば、体も回復するはずだ。

 

一度は追い抜いた選手たちに、またもや抜かれ続け

再び悲しい気持ちになってくる。

 

 

悔しい。

 

抜かれてしまうことではなく、

こんな状態になってしまう自分が、悔しくてたまらない。

 

 

本の出版でも、NHKの取材でも、実にたくさんの方にお世話になった。

その過程で、今まで以上に僕に期待を寄せて応援してくれる方が増えた。

 

ランをはじめたばかりの4年前。

ランを始める前の、35年間運動ゼロだったデブだった頃。

こんなに沢山の人に応援を頂ける存在になるなんて、想像していなかった。

 

 

 

それなのに、何故なんだ、こんな情けない自分よ。

 

 

既に「束」というよりも、ちょっとした「塊」レベルに膨らんでいた

沢山の人達からの応援メッセージの紙を思い出す。

 

 

「期待に、少しでも応えたい」

 

少しだけ、カラダにチカラが戻ってくる。

ヨチヨチながら、走り始める。

 

やれば、できるはずだ。

何度も、経験してきたじゃないか。

 

再び、走り始め、徐々に順位も戻していく。

そうして、最後はしっかりとしたランで、ついに42kmを走りきった。

 

順位は大幅に落として総合9位ほどになっていたが、

上位の選手たちから心配され、

「それでも、十分速いじゃないか」と励まされる。

 

「ありがとう!

とにかく、ここに辿り着けただけでも本当にハッピーだよ!」

 

危うく、13km地点のチェックポイント1に辿り着く前でリタイアも考えた程だったのだ。

 

やはり、やれば、できるんだ。

そして、何より、みんなからの応援があって、やれているのだ。

 

嬉しさと、自信と、感謝でまたカラダにチカラが戻ってくる。

とにかく、しっかり水を飲んで、身体を休めなければ。

 

レースのタフさを物語るように、他選手にもダメージが濃く見える。

特に、すでに4日目にして、ジャングルをかき分けるうちにシューズがボロボロになる選手が多い。

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破れたシューズを縫いつけている選手や

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完全にシューズがイカれてしまった選手も。

しっかりとしたトレイルシューズでも、ジャングルの様々な植物で、ボロボロになるのだ。

 
(つぎ、ちと、グロいです)

 

常に足が濡れっぱなしで、足まめも酷い選手がほとんど。
(幸い、僕は足まめはできなかった)

 

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ともかく、明日は、いよいよ、勝負のステージ5。

108kmにも渡る、夜通しのステージだ。

これを乗り越えれば、完走がほぼ決まるのだ。

 

つづく

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